何の目的があったのか?

クマという動物は、当時の北欧の人々にとって特別な存在でした。
強く、まれにしか出会えない、冬には姿を消す。
そうした神秘性から、クマは「異界との境界を超える存在」、つまり精霊や守護者のような意味を持っていたと考えられています。
さらに素材としての琥珀もまた、特別な力を宿すと信じられていた可能性があります。
見た目は石のようなのに軽く、海水に浮かび、磨けば輝き、火をつけると芳香を放ち、そして摩擦すると静電気で光る。
こうした“魔法のような特性”が、人々にとって神聖な素材としての地位を与えていたのです。
そのため、クマという象徴的な動物を、琥珀という特別な素材で形にすることには、呪術的・宗教的な意味があったとみられています。
つまり、スウプチョはただの首飾りではなく、“護符”や“精霊の依り代(よりしろ、精霊が宿る場所)”としての役割を果たしていたのかもしれません。
今日、北海道芦別市の博物館でスウプチョとよく似た熊の彫像を見ました。蛇紋岩製で大きさは4、5cm〜高さは3cm位でやはり胴に穴があります。続縄文時代の遺跡からの発掘。文化の発達が世界のあちこちで起こったのでしょうか…