二酸化炭素を吸って燃料を吐く、超光合成を実現

現在、この「人工葉」はまだ研究室で生まれたばかりの萌芽的な技術です。
CO₂から燃料への変換効率は1%にも満たず、デバイスの安定性や規模拡大にも改良の余地があります。
Andrei氏も「安定性、スケールアップ、生産の容易さといった点でさらなる進歩が必要だ」と認めています。
ペロブスカイト素材は高性能な反面、劣化しやすいという課題もあり、屋外で長期間使える耐久性の向上が重要でしょう。
それでも、今回示されたコンセプトは持続可能な未来への大きな道筋を描いています。
研究チームは触媒設計を改良して選択率を高めたり、より複雑な有機物合成への応用を視野に入れています。
将来的には人工葉パネルを大規模に展開し、太陽光でCO₂をリサイクルして燃料やプラスチック原料を生み出すことも可能かもしれません。
もしこの技術が実用段階に至れば、工場や発電所から出るCO₂をその場で燃料に変える「カーボンリサイクル」が実現し、飛行機の燃料やプラスチック製品を化石資源に頼らずに供給できるようになるでしょう。
まさに太陽と空気から燃料をつくるという循環型社会が現実味を帯びてきたのです。
小さな人工の葉っぱが描き出す未来には、私たちのエネルギーとの関わり方を根本から変える可能性が秘められています。
花というよりとげの抜けたサボテンに見える。