最大で30年も生きられる! 驚きの生態とは
パウエリファンタ・アウグスタが卵を産むのは、殻の中からではなく、首のすぐ下にある「生殖孔(genital pore)」からです。
この孔は首の右側に位置しており、カタツムリがわずかに身を乗り出すだけで、交尾や産卵が可能になります。
また彼らは雌雄同体で、一個体がオスとメス両方の生殖器を持ち、別の個体と交尾して繁殖することもできれば、自分だけで子供を作ることも可能です。
交尾の際には、一方がペニスを伸ばして相手の生殖孔に挿入し、お互いに同時に精子を交換します。
その後、体内に保存された精子を使って卵子と受精させ、やがて卵を産むという仕組みです。
生殖器が首の付け根にあるという構造は、硬い殻の中でも機能を果たすための進化の工夫といえるでしょう。

また、彼らのライフサイクルも驚くべきものです。
パウエリファンタ・アウグスタは非常に成長が遅く、性成熟までに8年もかかります。
産む卵の数も年にわずか5個程度。
しかも孵化までに1年以上かかることもあり、個体数はなかなか増えません。
飼育下にいる個体の中には、最長で25〜30年も生きているものもおり、一般的な庭のカタツムリ(長くて3〜5年)とはまさに正反対です。
今回の映像は、ただの生き物の記録にとどまりません。
そこには自然の巧妙さと、絶滅の危機に瀕した生物の繊細な生命の営みが映し出されていました。
DOCは現在、パウエリファンタ・アウグスタを野生に再導入するプロジェクトも進めており、回復した生息地での定着を目指しています。
それまでは飼育下での管理が続けられますが、このような貴重な映像が、私たちの自然に対するまなざしを少しでも変えるきっかけになるかもしれません。
首から卵を産む──そんな小さな奇跡が、未来の命をつないでいくのです。
一般的なカタツムリさんは5年も生きちゃうのか…。
カタツムリならみんな首から卵を産むのではないか?
とはいえこのカタツムリの卵は大きいな……