数学により物理学の3つの主要理論を統合することに成功
数学により物理学の3つの主要理論を統合することに成功 / Credit:clip studio . 川勝康弘
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数学により物理学の3つの主要理論を統合することに成功 (3/3)

2025.05.09 18:00:40 Friday

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理論の土台が固まると、空も海も計算しやすくなる

理論の土台が固まると、空も海も計算しやすくなる
理論の土台が固まると、空も海も計算しやすくなる / Credit:Canva

今回の成果は、流体力学の方程式そのものの形を変えるものではありません。

エンジニアや物理学者が使うオイラー方程式やナビエ–ストークス方程式が突然アップデートされるわけでもありません。

しかし、この理論の裏付けが与える影響は計り知れないものがあります。

まず第一に、私たちがこれまで経験的に正しいと信じて使ってきた流体の方程式が、もっと根本的な原理(ニュートンの運動法則)から必然的に導かれることが示されました。

これは「なぜその方程式でうまくいくのか」を深いレベルで理解できたことを意味します。

今回の証明により、ニュートン力学・ボルツマン方程式・オイラー/ナビエ–ストークス方程式という三つの理論が矛盾なく一つの現実を記述していることが数学的に保証されたのです。

理論と現実の間に横たわっていた溝が埋められたことで、今後は流体の方程式に対する信頼性が一段と高まり、「なぜそれが成り立つのか」という疑問に対しても明確な答えが得られたと言えます。

さらに、この成果は物理学の他分野にも波及効果をもたらす可能性があります。

例えばプラズマ物理や凝縮系物理、あるいは量子力学や統計力学の領域でも、ミクロな描像(微視的法則)とマクロな描像(巨視的法則)を結びつけようとする研究が数多くあります。

ミクロとマクロをつなぐ数学的なリンクが明確になれば、理論間の食い違いによる予想外の破綻を防ぐことができるだけでなく、新たな現象予測につながる可能性もあります。

実際、「粒子から流体へ」のブレイクスルーは他の難問にもヒントを与えるでしょう。

1900年にヒルベルトが掲げた壮大な夢(物理学の公理化)は非常に広範なものですが、その一角が今回崩れたことで「奇跡の年」と称賛する声も上がっています。

ある数学者グループはSNS上で「彼らは100年越しの問題を解決し、狭い意味でヒルベルト第6問題を完遂した」とまで評しています。

もしこの証明に間違いがないことが確認されれば、それは物理学と数学の歴史に残る一里塚となるでしょう。

そしてこの新たなアプローチによって、今後ほかの未解決問題にも次々と光が当てられていくことが期待されます。

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数学により物理学の3つの主要理論を統合することに成功 (3/3)のコメント

ViBGYoR☆

すごいなあ(;゚ Д゚)ノ
よくわからないけどこの式の中の
u( ・∇ )u が可愛いことだけはわかった!

    通りすがり

    最初のuの位置が、、、。
    (u・∇)u

相加相乗平均苦手

へぇ~、マジか!!

テルテルゾウ

素晴らしいですね。ヒトは、理想を追い求め、真理の全容の一部分だけでも解けた時、この上ない歓びがある存在なんですね。
昨今流行してい量子もつれから、現実世界は、全てバーチャルであるなどと、まことしやかに、ほざいている輩に一喝してほしいですね。

    ゲスト

    ホログラフィック宇宙のことなら現時点で未完成だし検証も不可能だけど
    一応真剣に検討されてる仮説だからあんまり批判するのは気の毒かもしれません

猫の手

素晴らしい。量子力学とニュートン力学にも応用出来ない?

ゲスト

これは昔から考えていた。というか皆がそうだろうなと思っていたこと。それがついに証明されたということだね。これはこれですごいが、で?と言うところもあるので、今後の応用とか発展を期待。

    ゲスト

    すぐに応用、応用というあたり気の毒な方なんだなぁという印象

ゲスト

ミクロスケールシミュレーションからマクロスケールの現象を説明しようとしている事例あるけど、うまくいってない。しかし、こういうミクロマクロ間の理論的な結合が証明されれば彼らの心が救われる可能性がある。

フィジカルショーンケイ

これ海洋物理学マニアでもわかる。これがマジならノーベル物理学賞です。
もし、本当なら、深海10万メートルの物質精製も夢ではないはず。何故なら放射能を出さない分子集団の動きの謎を解明することになり、人類夢物資精製も夢でなくなるはず。にわかに信じられない

エチゴの真空引き

学生時代の実験で電気絶縁のために高真空が必要でした。
最初はロータリーポンプで減圧してそれ以上は、ディフュージョン(油拡散)ポンプが必要でした。空気の振る舞いが流体から分子粒に変わるから。最初からディフュージョンでは、真空にできないの。数式で橋渡しできたのすごい。

インクームプレッシブル?

「インクームプレッシブル」という言葉はこの世界に存在しないので
AIに書かせた文章をノーチェックで掲載してる可能性が高いですね。

    たんたん

    論文調べてみたらどうやらincompressibleと載っており、これは「非圧縮性の」という意味ですね。
    流体力学でよく用いられます。

痩せ過ぎ蛙

個人的には、ナヴィエ・ストークス方程式の解(厳密解)の非存在が証明されてほしい…
かつて非線形偏微分方程式の解の定性的研究で学位を取ったが、アカデミックポストを得られなくてすっかり落ちぶれた男より

    フィジカルショーンケイ

    理論はおいといて。海洋学マニア。これが、なぜ深海の圧力に耐える物資生成に役立つと僕が思うか?眉唾物も入る。浮力の式見て、これを水が起こすとしたら、もう、上と下の圧力差、接している物質の密度などの立体情報を水がやり取りしないと無理。気球?あれ、全部熱膨張。水の浮力は、まあ、温度無関係。一万メートルの海で硬質ガラスプラスチックの圧壊というのがあるので検索してみて下さい。分子レベル(分子間力が満遍なく破壊)に粉粉になる。長年海洋学やってると、とにかく、水は、自分たち(近距離から遠距離まで、量子力学のエンタンメングルみたいに)の集団の偏りを嫌うの。偏りを防ぐため、いろんな仕組みがある。深海でガラス分子は近距離は近距離のルール、遠距離はそのルールに従い、水分子の押し合いへし合いを無限のたらい回しで水圧防衛しているわけ。この破壊されたのは当然、分子における爆縮圧縮(核連鎖反応の分子版)が起こった。運命的に、1ガラス分子にオシクラ饅頭が発生し、分子間力が破壊、近距離の分子が破壊されると同時に、遠距離の分子も破壊されるはず。でないと、分子の爆裂圧縮は起こらない(原子爆弾?あれ、ナイマンが火力による爆発を均等に中心に行くように爆弾の位置を正多面体の位置、数を計算している。これは、無限の分散世界における宝くじ現象)。また、水はナノレベルでは水圧がかかると楔型(ノコギリ型)に変形するらしい。注射器の先をゴム栓変えて、水入れてシリンダー引くと引けない。あれ、ガラス表面はナノレベルでは凸凹で、形を変えたガラスが爪クローで引っ掻きとまる。まず、この式があらゆるとこで単純化の過程をおいといてもいい。この話で分かったでしょう。あらゆる数学の仮定をおく人は眉唾物。深海?俺の予想。水圧の極限状態。そこは、水の均等分散の頂点の奴らがいるとこ。悪いけど、これでも、かなり凄いと思うよ。水はナノレベルで変形。子供の時見た戦隊ヒーロー。あれ否定出来ない。

「完全な解決」には程遠い誇大宣伝

この論文がヒルベルトの第六問題を「完全に解決した」と言えない理由は、以下の4点に明確に集約される:

1. 仮定した条件が現実の流体を表すには理想的すぎる:
論文の導出では、粒子の体積分率がゼロに向かう「希薄気体近似」を採用しており、この設定では粒子間の強い相互作用や液体に特有な凝縮現象、界面張力、長距離相関といった重要な物理的特性が無視されている。このため、実際の高密度流体や液体の運動を正しく表現することはできない。

2. 周期境界条件という現実から離れた設定:
導出の数学的厳密性を維持するために周期境界条件(トーラス上の粒子系)が用いられているが、これは実際の流体が持つ境界効果や壁との相互作用、境界層の形成、自由表面などの現象を排除している。そのため、現実の流体問題への直接的な適用性は著しく制限される。

3. 分子的混沌の仮定が破綻する可能性を否定できない:
ボルツマン方程式の導出に必要な分子的混沌の仮定(衝突する粒子間の速度が無相関であるという仮定)が、特に長時間や高密度領域での粒子再衝突により破綻する恐れがある。この仮定が維持できない場合、そもそもボルツマン方程式への導出そのものが成り立たなくなり、流体方程式への導出も根本的に揺らぐ。

4. 流体方程式側の解の正則性(滑らかさ)問題が未解決である:
オイラー方程式やナビエ・ストークス方程式の厳密な導出にあたり、導出の途中で「解が滑らか(正則)であること」を暗黙的に仮定している。しかし実際には、特に三次元ナビエ・ストークス方程式については、滑らかな解が常に存在し続けるかどうかは数学的に未解決の問題(クレイ研究所ミレニアム問題の一つ)であり、この前提が保証されていない。

以上の理由により、この論文はヒルベルト第六問題の「完全な解決」には程遠く、あくまでも極めて理想化された条件下での部分的な解決にとどまることになる。

インクームプレッシブル・ナビエ–ストークス–フーリエ方程式
→インコンプレッシブル(非圧縮性)
かな

ゲスト

まだ査読審査中みたいだけど証明が完全なら
ポアンカレ予想証明(2003年)以来ひさびさの数理科学分野の大成果かも!?

ムササビ

そんなに大した事に思えない。 
まー、ノーベルもらえるかもしれないが、
つまらん。
実用上の意味もない。あると主張しているが。
統計力学の問題で、重要な問題は多い。遊びにしか見えない、
まー、ヒルベルトの問題、それを解いた
まー、ヒルベルトも、遊びクラスの問題を出したか、ちょとがっかりした。
昔、読んたのだろーが、記憶していない。
つまらん、読んで損した。せめて、内容に少し触れる、騙された気分です。

数学音痴

この数式が正しいか、AIが判定することは、出来ないのですか?

    ゲスト

    AIには「既に証明されている理論」を説明する事はできても、仮説を証明し説明する事はできないかと思います。それをやったとしても検証を行えるのは人間になります。

k

常温核融合のプラズマの挙動に応用できれば一気に実用化かな??

ゲスト

なんだか雑な記事ですね

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