遺伝子編集の革命「CRISPR-Cas9」

研究チームが今回使用したのは「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」という遺伝子編集技術です。
CRISPR-Cas9は、ここ10年ほどで生物学を一変させた革命的な遺伝子編集技術として知られます。
この技術では、DNAの特定の部分を切り取り、別の遺伝子を挿入することが可能です。
標的とするDNAを人工酵素「キャス9」を使って正確に切断した後、細胞の自然な修復メカニズムを利用して、遺伝子を破壊(ノックアウト)したり、新たな遺伝子を挿入(ノックイン)したりすることができます。
この遺伝子編集の高い効率性により、CRISPR-Cas9はすでに発生生物学や進化生物学、材料科学、害虫駆除、農業など多くの研究分野で活用されており、すでに幅広い分野で成果を上げてきました。
哺乳類、魚類、昆虫などさまざまな生物にも応用されています。
その一方で、クモに対してはまだCRISPR-Cas9が実施された例はありませんでした。
そこで研究チームは新たに、クモを対象とした遺伝子編集を行い、「赤く蛍光する糸」を出させる遺伝子改変を試みたのです。