恐竜時代から鳥は北極にいた!
今回の発見は、アラスカ北部のコルヴィル川沿いにある「プリンス・クリーク層」という地層で行われました。
この地域は恐竜化石の宝庫として知られてきましたが、近年では小型の鳥類化石も豊富に見つかる重要な調査地となっています。
研究チームはその最新調査で、2mm以下の極小の骨や歯をふるいにかけて集めるという緻密な方法を用い、ヒナを含む鳥の骨を多数発掘しました。
その数は50点以上にのぼり、なかには嘴(くちばし)に歯のある絶滅種ヘスペロルニス類や、カモメに似たイクチオルニス類、そして歯を持たない現生鳥類に近い種まで含まれていました。

これらの鳥たちは、今から約7300万年前、つまり恐竜たちがまだ地球を支配していた時代に、極寒の北極圏で実際に繁殖していた可能性が高いと考えられています。
それまでに最古とされていた極地での鳥の営巣の証拠は、約4650万年前の南極にいたペンギンでした。
今回の発見は、その記録をおよそ2500万年以上もさかのぼることになります。
現代でもシロフクロウやシロカモメなど、一部の鳥は北極で営巣します。
しかし彼らの祖先が恐竜時代からすでにそうしていたという証拠が示されたのは、今回が初めてです。