風と圧力、そして「死の灰」
爆発による影響は、光と熱だけではありません。
核爆発は周囲の空気を一気に押し出し、凄まじい衝撃波(爆風)を生み出します。
1メガトンの核爆弾であれば、爆心地から6キロメートル以内にある2階建ての建物の壁には、180トンもの力がかかるといわれています。
風速は時速255キロメートルに達し、人間の体は立っているだけで吹き飛ばされ、建物は容易に倒壊します。
さらに1キロメートル以内ではその圧力は4倍、風速は驚異の時速756キロにも達し、事実上その範囲内での生存は不可能と見なされています。
人体そのものはこの圧力に耐えることができたとしても、周囲の瓦礫や倒壊した建物に潰されて命を落とす可能性が高いのです。
そして、生き延びたとしても最後に襲いかかるのが「放射線被曝」と「死の灰」です。
広島と長崎では、爆弾は地上ではなく空中で爆発したため、地表の物質が放射化されて高空に飛散することは比較的少なかったとされています。
ですが、もし爆弾が地上で爆発していたら、大量の放射性物質が上空に巻き上げられ、風に乗って広範囲に拡散する事態になっていたでしょう。
この「死の灰」は数時間から数日後に地上へと降り注ぎ、人々を長期的に被曝させる恐れがあります。
さらに研究によれば、アメリカとロシアの全面核戦争が起こった場合、放出される煤(すす)や煙によって地球は「核の冬」に突入し、気温が急激に下がることで作物が育たなくなり、数十億人規模の飢饉が引き起こされる可能性もあるとされています。
実際、冷戦時代の核実験によって発生した放射性炭素は、地球で最も深い場所であるマリアナ海溝からも検出されています。
放射性物質の脅威は、想像以上に広く、そして長く続くのです。

ここまで見てきたように、核爆発の影響は瞬間的なものにとどまらず、熱、衝撃波、放射線、そして気候変動に至るまで多岐にわたります。
そして「どれくらい離れていれば安全か?」という問いに対する明確な答えは存在しません。
少なくとも確かなのは、核兵器が使われた場合、多くの人命が失われてしまうことです。
また人間だけでなく、その地に住む動植物や生態系も多大ない被害を受けるでしょう。
果たして、人類は核兵器を手放すことができるのでしょうか?
それすら超える破壊力を以って人類を滅ぼさんと力をふるうSNSとかいう人類が生み出した究極の兵器。