武装警備のもと、1時間の歯科手術が実施される
2025年6月23日、動物園ではツンドラへの歯科手術が行われました。
手術を担当したのは前回の根管治療も担当したブラウン医師です。
処置時間は約1時間で、チタン製のクラウンを丁寧に犬歯に装着していきました。
しかし相手は360キロの野生動物。
鎮静処置が効いているとはいえ、手術室には万が一に備えて銃を携えた武装対応チームの職員が待機していました。
もしツンドラが目覚めれば、命に関わる事態に発展する可能性もあったのです。
幸いにも手術は無事に完了し、ツンドラは再び元気に過ごせるようになりました。
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銀色のクラウンは彼の犬歯を保護し、細菌感染やさらなる損傷を防ぎます。
「彼の笑顔には、今やキラリと輝く光があるんです」と、動物園の広報担当は語っています。
なお、この前例のない処置について、医師チームは2025年中に獣医歯科学の専門誌『Journal of Veterinary Dentistry』に論文を発表する予定です。
一見、ユーモラスに思える「クマの銀歯」ですが、その背後には動物福祉と獣医療の進化があります。
大型哺乳類の歯の健康は、その生活の質に直結する重大な問題です。
とくにクマのように肉や硬いものを噛む動物にとって、犬歯の損傷は死活問題にもなりかねません。
今回の手術は、動物医療がどこまで進歩し、どこまで寄り添えるのかを示す象徴的な一例といえるでしょう。
人間ですら保険適用になったのつい最近でほとんどの歯医者ではまだ対応できていないというのに…。