火山噴火が温暖化を加速する「負の連鎖」
チームは今回の成果を踏まえ、次のような重要な指摘を行っています。
「問題は、氷河の融解が単に火山活動を増やすというだけではありません。
噴火によって放出される温室効果ガスが、さらなる地球温暖化を引き起こす“悪循環”を生む可能性があるのです」
ただし火山噴火による気候への影響は一筋縄ではいきません。
短期的には、噴火によって放出されるエアロゾルが太陽光を反射し、地球全体を一時的に冷やす効果があります。
たとえば1991年のフィリピン・ピナトゥボ火山の大噴火では、地球全体の気温が約0.5度低下しました。
一方で、複数の火山噴火が続くと、温室効果ガス(二酸化炭素やメタンなど)の排出が積み重なり、逆に地球温暖化を加速させる可能性があるといいます。
このように「氷河の融解が火山を活発化させ、火山の噴火がまた温暖化を進め、さらに氷河が融ける」というループが成立するのです。
この現象が確認されたのは南米のパタゴニア地域でしたが、同様の条件を持つ場所は世界中にあります。
2020年の研究では、世界で活動が予測される火山のうち、245カ所が氷河の直下または半径5キロ以内に存在することが確認されています。
特に南極、ロシア、ニュージーランド、北米などでは、分厚い氷河の下に休眠中の火山が多数眠っており、気候変動が進む今、それらが次々と活動を再開する可能性が懸念されています。

氷河はただの“冷たい自然の遺産”ではありません。
それは地下の火山を押さえ込む「重し」であり、地球の気候を安定させる「安全装置」でもあるのです。
しかし、その安全装置が今、音もなく崩れ始めています。
その先にあるのは、爆発的な火山活動と、それによってもたらされるさらなる気候変動かもしれません。
まー噴煙が日光を遮って寒冷化からの氷河復活適温再開という考え方もできるがね