食品廃棄物から日用品へ

FOODres.AIプリンターの最大の特徴は「超ローカル循環型経済」の構築を目指している点です。
これは食品くずをわざわざ自治体に回収させたり、リサイクル施設に送ったりするのではなく、各家庭で“その場で”資源化して再利用するという発想です。
これにより、輸送によるCO₂排出も削減でき、地域全体の持続可能性が向上します。
しかも、使い勝手も重視されています。
3Dプリンターというと難しそうな印象がありますが、FOODres.AIはAIによるガイドがあるため、初めての人でも安心して使えます。
まさに、未来のキッチン家電といえるでしょう。

現在、MITチームはこのプリンターを一般家庭に試験導入するパイロットプロジェクトを進めており、まずはケンブリッジ市での運用からスタートしています。
プロジェクト責任者であるビル・カオ氏によれば、この取り組みによって約6800トンの食品廃棄物の削減が期待され、2000世帯以上に届けられる予定です。
さらにこの技術は、家庭用品だけでなく、将来的には食品そのものや医療用材料、人工皮膚や血管といった分野にも応用が可能とされています。
つまり、ゴミを出さずに日用品も食べ物も、さらには治療素材まで作れる時代が、すぐそこまで来ているのです。
バナナの皮がコーヒーマグになり、卵の殻がコースターになる——そんな未来が、もう現実になろうとしています。
MITのFOODres.AIプリンターは、単なる便利な機械ではありません。
今までゴミとされてきたものに価値を与え、家庭の中で「作る」喜びを広げ、そして地球環境への意識を変える力を持った社会変革の道具なのです。
食卓の隅にあるくず野菜や皮一つが、あなたの手で形を変え、新たな命を得る。
そんな生活が、これからの「当たり前」になっていくかもしれません。
おしゃれなものができて喜んでいたら生分解性の高さが災いしてあっという間に分解されて涙目になるやつ…。