ADHD症状のある若者は勉強中や仕事中にも普通の人より頻繁にBGMを聴く
ADHD症状のある若者は勉強中や仕事中にも普通の人より頻繁にBGMを聴く / Credit:Canva
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ADHD症状のある若者は勉強中や仕事中にも普通の人より頻繁にBGMを聴く (2/3)

2025.08.04 22:00:14 Monday

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ADHDは静かだと集中できない可能性がある

ADHDは静かだと集中できない可能性がある
ADHDは静かだと集中できない可能性がある / Credit:Canva

では、ADHDの人にとって音楽は本当に役に立っているのでしょうか?

この疑問に答えるために、カナダのモントリオール大学の研究チームは、434人の若者(17歳〜30歳)を対象にインターネットでアンケート調査を行いました。

まずは全員に「あなたはどれくらいADHDの傾向がありますか?」を測るための質問に答えてもらいました。その結果、434人のうち118人はADHDの可能性が高いグループに、残りの316人はそうでないグループに分けられました。

次に、「どんなときに、どんな音楽を、どのくらいの頻度で聴いているか?」を、さまざまな場面ごとに質問しました。たとえば、

・読書や勉強のとき

・掃除や料理、運動、通学中など、体を使うとき

といったように、頭を使う活動とそれほど使わない活動の両方について答えてもらいました。

さらに、音楽を聴いたことで「集中しやすくなったか」「気分がよくなったか」といった効果も聞きました。

その結果、ADHD傾向のある若者たちは、そうでない人たちよりも勉強中や運動中など、多くの場面で音楽を流している割合が高いことがわかりました。

特に「勉強しているとき」や「スポーツをしているとき」に音楽を聴いている人が多く、音楽を通して自分の集中や気分を整えている様子が見えてきました。

一方で、「何もせずにただ音楽を聴く」時間は、ADHD傾向のない人のほうが長い傾向がありました。

つまり、ADHDの人たちは音楽をじっくり味わうよりも、「作業しながら聴く」使い方をしていることが多いということです。音楽は、勉強や運動を助ける道具として役立っているようです。

では、どんな音楽を好んでいるのでしょうか?

ここでも興味深い違いがありました。

ADHD傾向のある人たちは、勉強中であっても「刺激的なアップテンポの音楽」を選ぶことが多いことがわかりました。

一方、ADHD傾向のない人たちは、「リラックスできる落ち着いた音楽」を選ぶ傾向が強く、両者で好みにはっきりした違いが出たのです。

たとえば、「集中したいときに、ゆったりした音楽を聴く」人の割合は定型グループで多く、「ノリの良いアップテンポな音楽を流す」人はADHDグループに多く見られました。

この結果から、ADHDの人たちは「静かな音楽で落ち着く」よりも「元気な音楽で気持ちを上げて集中する」タイプが多いことがわかります。

とはいえ、どちらのグループにも共通する点がありました。

それは、「場面に応じて音楽の種類を使い分けている」ということです。たとえば、

難しい勉強や読書には、歌詞のない落ち着いた音楽

掃除やジョギングなどの作業には、テンポの速い曲や歌詞つきの音楽

というように、うまく音楽を使い分けている人が多くいました。

そして、「音楽を聴くことで集中しやすくなった」「気分がよくなった」と答えた人は、ADHDかどうかに関係なく多数派でした。

つまり、多くの若者にとって音楽は“やる気を出すパートナー”のような存在であり、特にADHDの人たちにとっては、より積極的にそれを活用しているということがわかったのです。

次ページADHDにはどんな音楽が効く?

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