生姜で痛みの緩和も?

その3:痛みの緩和
痛みに関してもショウガの効果は期待されています。
いくつかの研究では、変形性膝関節症の患者において、ショウガ抽出物が膝の痛みやこわばりを軽減したと報告されています。
特に治療初期で効果が見られましたが、結果には個人差があります。
筋肉痛に関しては、毎日2グラムのショウガを11日間摂取すると、運動後の筋肉の痛みが軽減されたという研究もあります。
さらに、月経痛の緩和にも有効で、イブプロフェンのような一般的な消炎鎮痛薬と同等の効果を持つ可能性があると報告されています。
研究者は、ショウガが神経系の痛み信号を抑える経路を活性化し、炎症性物質(プロスタグランジンやロイコトリエン)の働きを抑えると考えています。
その4:心臓と糖尿病への予防効果
心臓病の大きなリスク因子は、高血圧・高血糖・悪玉コレステロール(LDL)の増加です。
2022年に行われた26件の臨床試験のレビューによると、生姜の摂取は中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロールを下げ、善玉コレステロール(HDL)を上げる効果が認められました。
さらに血圧を下げる働きも報告されています。
2型糖尿病の人にとっても、生姜は血糖コントロールの改善やコレステロール値の正常化に役立つとされています。
これにはインスリン感受性の向上や細胞内での糖の取り込み促進、酸化ストレスの軽減といった複数の仕組みが関わっていると考えられます。
伝統的な医療体系では、生姜は古くから「強壮剤」や「媚薬」として使われてきました。
現代科学でも、動物実験ながらテストステロン増加や血流改善といった性機能への効果が報告されています。
人間での確実な証拠はまだ不十分ですが、循環やホルモンへの作用が裏付けられつつあります。
その5:脳とがん研究への広がり
ショウガは脳の健康やがん予防にも関わる可能性があります。
実験室での研究では、ショウガ成分が酸化ストレスから脳細胞を守る作用を持ち、アルツハイマー病のような神経変性疾患に役立つ可能性が示されています。
また、一部の培養細胞研究では、ショウガが特定のがん細胞の成長を抑えることが確認されています。
ただし、これはまだ初期段階であり、人間での効果を確認するにはさらなる研究が必要です。
安全性と注意点
ショウガは食品やお茶として摂取する限り安全とされていますが、サプリメントとして大量に摂る場合には注意が必要です。
1日4グラム以上では胸やけ、膨満感、下痢、口内の刺激といった副作用が起こることがあります。
また、血液をサラサラにする薬(ワルファリン、アスピリンなど)を服用している人は出血リスクが増える可能性があります。
糖尿病や高血圧の薬との相互作用で血糖値や血圧が下がりすぎることもあり得ます。
妊婦は高用量を使用する前に医師に相談する必要があるでしょう。