なぜ「2匹のオス+1匹のメス」? 進化と多様性の“秘密戦略”
今回観察された「2匹のオスと1匹のメスの連続交尾」は、単なる偶然ではなく、ヒョウザメが生き残るための進化的な戦略である可能性が示唆されています。
ヒョウザメは、個体数の減少時には「単為生殖(パルテノジェネシス)」、つまりはオスなしで卵を産むことができる特殊な能力も持っています。
しかし、単為生殖は遺伝的な多様性が低下するリスクがあり、種としての生き残りには「多様な遺伝子」を維持することが不可欠です。
そこで重要になるのが、「複数のオスによる交尾」です。
複数のオスが1匹のメスと交尾することで、複数の精子が競争し、遺伝的多様性が高まる可能性があります。
実際に、サメの中には「卵管腺」という特殊な器官に精子を長期間保存し、最適な時期に受精できる種も存在します。
メスはこうした仕組みを活用して、より多様な遺伝子を持つ子孫を残す戦略をとっているのです。
今回の観察地となったニューカレドニア沖は、ヒョウザメにとって重要な「繁殖場」である可能性が高いと研究者は指摘します。
この場所を保全することで、ヒョウザメ全体の個体群や遺伝的多様性を守ることにもつながるのです。