わずか8週間で髪密度24%アップ! “植物EV”が導く新しい育毛科学

髪の成長に「植物の宅配便」が効くのかどうか、本当に調べるためには、しっかりとした科学的方法で検証する必要があります。
そこで今回の研究チームは、「研究に参加した18〜60歳の男女60人をランダム(無作為)に5つのグループに分け、誰がどのグループに属しているかは本人も研究者も最後まで知らない状態で実験を行ったのです。
こうすることで、「思い込み」による影響をなくし、より信頼できる結果が得られる仕組みになっています。
5つのグループはそれぞれ違う処方の頭皮エッセンスを毎日1回、8週間(56日間)にわたり使い続けました。
エッセンスの種類は以下のようなものでした。
1つ目は「プラセボ」と呼ばれる、有効成分を全く含まない液体です(比較の基準)。
2つ目は「基本成分」として、カフェイン(0.1%)とパントテン酸(ビタミンB5)だけを含む液体。
3つ目は「基本成分」に加えて、髪の成長を促すタンパク質「成長因子(IGF-1、FGF-7)」を含んだ液体です。
4つ目は「基本成分」に、前述のツボクサから取れる小さな袋(植物由来EV)を加えた液体。
そして5つ目が、この「基本成分+成長因子+ツボクサEV」のすべてを盛り込んだ贅沢な処方でした。
(※なお、今回の試験は「基本成分+成長因子+ツボクサEV」を単純に配合したものであり、成長因子そのものを小胞の中に詰めて運んだわけではありません。)
このエッセンスを使い続けることで、本当に髪や頭皮が改善したかどうかをチェックするため、研究チームは5つの主要な指標を測定しました。
具体的には、頭皮のベタつき(皮脂の量)、髪の長さの伸び具合、毛一本一本の太さ、髪の密度(一定面積あたりの毛の本数)、抜け毛の量の5つです。
測定は実験開始時(0日目)と、その後2週間ごと(14日目、28日目、42日目、56日目)に行い、どれだけ変化したのかを調べました。
まず、頭皮の皮脂量の変化についてです。
皮脂とは、頭皮の毛穴から分泌される油分のことで、あまり多すぎると頭皮がベタつき、髪の成長にもマイナスになることがあります。
実験期間中、どのグループでも皮脂の量が徐々に減る傾向がありました(季節などの影響も考えられます)。
しかし最も顕著な改善を示したのは、植物EVと成長因子を両方含む5つ目のグループ(E群)でした。
56日目には皮脂が開始時に比べて59%も減少し、プラセボ群の47%減より明らかに良い結果でした。
これは頭皮がベタつきにくくなり、髪が健康に育ちやすい環境が整ったことを示唆しています。
次に、髪の長さの伸び具合を見てみましょう。
通常、髪は1ヶ月に約1cmほど伸びるとされています。
そのため、プラセボ群も一定の伸びが見られましたが、5つ目のグループはなんと開始から14日目にはすでに差が出はじめました。
そして56日後には、平均して累計3.5cmという伸びを記録しました。
この結果は、成長因子と植物EVのコンビネーションが髪を生やす毛根の細胞(毛母細胞)をより早く活性化させた可能性を示しています。
さらに髪一本一本の「太さ」の変化も注目です。
実験期間中、どのグループでも髪の太さは多少なりとも増加しました。
しかし5つ目のグループ(E群)の増加は平均で27.9マイクロメートル(約0.03ミリ)と、プラセボ群の13.9マイクロメートル(約0.014ミリ)のおよそ2倍を達成しました。
これを例えるなら、細くて頼りなかった糸が、しっかりしたコシのある糸に変わったような印象です。
また興味深いのは、植物EVだけのグループに成長因子を加えたことで、より毛が太くなったことです。
成長因子が毛の成長を促す役割を持ち、植物EVが毛根にその成長因子をうまく届けることで、効果が高まった可能性があります。
次は髪の「密度」、つまり毛の本数です。
人の髪の毛には、成長期(毛が伸びる時期)と休止期(毛が抜けやすい時期)というサイクルがあるため、特に何もしないプラセボ群でも髪が若干増えることがあります。
実際、この実験でもプラセボ群でも髪が少し増えました(自然回復や心理効果と考えられます)。
しかし全成分入りの5つ目のグループはその倍以上の効果を出しました。
開始時より23.9%も髪の密度が増え、プラセボ群の11.9%増を明らかに上回ったのです。
これは、成長因子が毛を作り出す細胞を刺激し、植物EVがその効果を助けることで、「眠っていた毛根が目を覚ました」ような状態を示す結果といえます。
実際に参加者の頭頂部の写真を見ても、地肌の透け感が明らかに減り、髪が濃くなったことが確認できました。
最後に抜け毛の変化を確認しました。
ブラシでとかしたときに落ちる毛の量を調べると、すべてのグループで期間中に抜け毛が減少しました(標準的なヘアケアの効果かもしれません)。
しかし統計的に明らかな差がプラセボ群より出たのは、全成分入りの5つ目のグループ(E群)のみでした。
56日目には抜け毛の量が開始時より63.6%も減少し、プラセボ群の43.1%減を大きく上回ったのです。
この結果は、植物EVと成長因子の組み合わせが、抜け毛を抑える効果をより明確に示したと考えられます。