座る時間を毎日30分減らすと、エネルギー代謝が改善する
研究の結果、介入グループは平均して1日41分、座る時間を減らすことに成功しました。
しかし、全員が目標の1時間を達成できたわけではなく、対照グループの一部にも自然と座る時間が減った人がいました。
そこで研究チームは、実際にどれくらい座る時間を減らせたかという視点で、全参加者を再び分類して解析しました。
すると、毎日30分以上座る時間を減らせた人たちでは、インスリンによるエネルギーの切り替え能力、つまり代謝の柔軟性が有意に改善していました。
また、軽い運動時の脂肪燃焼能力も高まっていたことが分かりました。
さらに、立つ時間が増えた人ほど、代謝の柔軟性も大きく向上するという傾向が見られました。
一方、あまり座る時間を減らせなかった人や、元通り座っていた人では、これらの効果はほとんど確認できませんでした。
特別な運動や食事制限をしなくても、日常生活の中で座る時間を30分減らすだけで、体はきちんと応えてくれることが、この研究で分かったのです。
テレビやデスクワークの合間に立ち上がる、階段を使う、電話は立って受ける、こまめに家事をするなど、ちょっとした工夫が、体の中で変化を生み出すのです。
特に運動習慣がなく、太り気味だったり、生活習慣病リスクが高い人ほど、「まずは毎日30分座る時間を減らす」ことから始めてみるのが有効でしょう。
もちろん、さらにウォーキングや中強度の運動を取り入れるなら、健康効果はより高まります。
椅子から立ち上がるその30分が、未来の自分の健康を大きく変える一歩になるかもしれません。