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Credit: canva
medical

きわめて稀な「月経精神病」の症例を10代女性で確認

2025.10.28 07:00:19 Tuesday

東京都立小児総合医療センター(TMCMC)のチームは、これまで医学文献でも100例に満たないとされる「月経精神病(menstrual psychosis)」を日本の10代女性で確認し、専門誌で詳しく報告しました。

この少女は約2年間、月経周期と一致して「幻聴」「妄想」などの強い精神病症状に悩まされ、標準的な治療薬が効かない中、意外な薬で劇的な改善を示しました。

その薬とは何だったのでしょうか?

研究の詳細は2025年10月21日付で学術誌『Psychiatry and Clinical Neurosciences Reports』に掲載されています。

Psychiatrists document extremely rare case of menstrual psychosis https://www.psypost.org/psychiatrists-document-extremely-rare-case-of-menstrual-psychosis/
Menstrual psychosis with a marked response to carbamazepine https://doi.org/10.1002/pcn5.70217

月経が来るたび現れる謎の精神症状

「誰かに見られている気がする」「周りの会話が自分のことに思えて仕方ない」

そんな不安や恐怖、さらには実際に“クラスメイトの声が聞こえる”という幻聴まで――。

症例の10代女性は、それまで精神的な問題も家族の病歴もなかったにもかかわらず、16歳ごろからこのような強い精神症状に悩まされ始めました。

はじめは統合失調症と診断され、一般的な抗精神病薬が投与されています。

しかし症状は改善しませんでした。転院後、医療チームは入院下で慎重に観察を重ねました。

すると、驚くべき「周期性」が明らかになりました。

入院中、月経前になると必ず不安や落ち着かなさが現れ、やがて「声や音が頭の中に入ってくる」といった幻聴・妄想がピークに達したのです。

しかし月経が始まって4日ほどで、うそのようにすべての症状が消えることがわかりました。

この現象は翌月も、またその次の月も、周期的に繰り返されました。

症状の現れ方も「考えが電話中に漏れ出している」「自分の思考が他人に伝わっている気がする」など、ときに本人を強く苦しめるものでした。

抗精神病薬の増量や治療法の変更も効果がなく、「月経周期と精神症状の一致」という、極めて特異なパターンだけがはっきりと現れていました。

次ページ意外な薬で劇的改善、その薬とは?

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