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history archeology

人類はかつて「睡眠を1晩2回」に分けていた、その習慣が消えた理由とは? (2/2)

2025.11.03 17:00:52 Monday

前ページかつて人類は「夜に2回眠る」のが普通だった

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なぜ「2回睡眠」は消えたのか?

では、なぜ現代の私たちは「夜に一度目覚める」ことに不安を感じ、「ぶっ通しで眠る」ことを目指すようになったのでしょうか?

その背景には、ここ200年ほどで急速に進んだ「社会と生活の変化」があります。

最大の要因は、人工照明の普及です。

18世紀後半から19世紀にかけてオイルランプ、ガス灯、やがて電灯が登場し、夜の時間を“活動的な時間”へと変えてしまいました。

それまでは日没とともに眠るしかなかった人々も、夜遅くまで明るい部屋で読書や仕事をするようになり、自然な眠気のサイクルが崩れはじめました。

生物学的には、夜の明るい光が脳内の「体内時計(サーカディアンリズム)」を遅らせ、寝る前の光が眠気ホルモンであるメラトニンの分泌を抑えてしまいます。

その結果、「夜に1回起きてまた寝る」というリズムが消えていき、「6〜8時間ぶっ通しで眠る」現代型の連続睡眠へとシフトしていったのです。

さらに産業革命が人々の働き方も大きく変えました。

工場のシフト勤務や都市生活の拡大により、「まとまった8時間の休息」が奨励されるようになりました。

20世紀初頭には、睡眠の医学・産業衛生の観点からも「連続した8時間睡眠」が“理想”とされるようになり、かつての2回睡眠のリズムはほぼ姿を消しました。

しかし、現代社会でも冬の長い夜や強いストレス下では、かつての2回睡眠が顔をのぞかせることがあります。

極地の長い冬や光の手がかりが乏しい環境では、時間感覚がずれやすくなり、1晩を“前半・後半”で体験する人もいるのです。

そして最近の研究では「夜中に目覚める」のは脳の正常な働きであり、睡眠サイクルの一部であることがわかってきました。

不眠症治療でも「眠れないままベッドで悩むより、一度起きて静かに過ごし、眠くなったら戻る」ことが勧められています。

「連続した8時間睡眠」という現代の“常識”は、実は近代の産物であり、人類の本来のリズムはもっと多様だったのです。

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人類はかつて「睡眠を1晩2回」に分けていた、その習慣が消えた理由とは? (2/2)のコメント

ゲスト

このような良い意味で″常識″を覆す記事は非常に大切だと思います。ありがとうございます。

ゲスト

夜中に目が覚める事なんて普通だろ
逆に一回で睡眠をとろうなんて発想が無い

    ゲスト

    そういう現代における外れ値の普通が近代まで外れ値ではなかった、という逆説的な内容なんですね

ゲスト

夜中に一回目が覚めるというより寝るのを数回に分けるのは普段からしているのですが、これって変なことではなかったんですね。

ゲスト

これからは安心して二度寝できます!

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