爆発の26時間後に捉えた超新星の形

チャンスは突然やって来ました。
2024年4月10日、地球からおよそ2200万光年(論文値では7.24±0.20 Mpc=約2360万光年)の彼方にある銀河NGC 3621で、ひとつの星が爆裂しました。
この爆発こそ、超新星SN 2024ggiです。
爆発した星は巨大な赤色超巨星で、太陽の12〜15倍の重さと500倍もの大きさをもつ“宇宙の怪物”のような存在でした。
こうした星は寿命を迎えると内側が崩れ、最後に一気に外側を吹き飛ばします。
その瞬間が、今回の観測にとっての舞台でした。
発見からわずか26時間後、研究チームはすぐに世界最大級の望遠鏡VLTを使ってSN 2024ggiを狙います。

このスピードは異例で、ちょうど爆発の「生まれたてホヤホヤ」の光がまだ残っている時間帯でした。
いわば、“できたての宇宙花火の形”を真正面から見に行くような挑戦です。
とはいえ、遠くの超新星は望遠鏡で見える姿が「ただの点」にしか見えません。
点の光から「形」を読み取れと言われても無茶な話に思えます。
ここで研究者たちが使った手法が、偏光(へんこう)という光の「ゆらぎの向き」を読む技です。
光には波として揺れる方向があり、星の表面や周囲で散乱されると、その揺れ方が偏ることがあります。
完全な球形の爆発なら、この“ゆらぎの向き”は全方向で打ち消し合い、偏光はゼロになります。
しかし、もし爆発に少しでも片寄りがあれば、その方向に揺れが残ります。
つまり偏光は、遠く離れた爆発の「影絵」を運んでくるのです。
研究チームは、この偏光の向きを波長ごとに丁寧に調べ、光がたどった“爆発の通り道”を逆算しました。
すると、爆発の初期の瞬間に、驚くべき事実が浮かび上がります。
最初の衝撃は、期待されたような丸い光の球ではありませんでした。
むしろ、縦に少し伸びた楕円形をした縦長の形だったのです。
つまり爆発は、初めから「ある方向へ少し強く吹き出すタイプ」だったのです。
なぜ爆発に軸があるのか?
爆発に軸が存在する理由としては、回転、磁場、対流、燃え方のムラのような違いがコア崩壊、圧縮、反発にともなって劇的に増幅され、ある方向にはちょっと強く、ある方向にはちょっと弱いという状態が出現します。これがそのまま爆発の軸となると考えられます。
では、時間が進むとどうなるのでしょうか。
星の周囲には、過去に放出されたガスや塵が漂っています。
衝撃波がこれらにぶつかると、爆発の形は簡単に乱れてしまいます。
実際、観測でも爆発が周囲のガスと衝突し始めると、最初の細長い形は押しつぶされたように平らになっていきました。
ところが、その“押しつぶされ方”にも法則があったのです。
形が変わっても、偏光が示す爆発の「軸」だけはおおむね保たれたままでした。
つまり、星の内部から吹き出した最初の向きと、外側に広がった後の向きが大きくはずれずに整合していたのです。
この一貫性は、論文中の偏光データでもはっきり示されています。
内部がどれほど複雑でも、ひとつの大きな軸が爆発の向きを支配していたことになります。
先に述べたように、超新星爆発の「最初の瞬間」はこれまで人類がほとんど捕まえられなかった現象です。
だからこそ今回のSN 2024ggiのように、爆発から約1日という超早期観測は、星の最期の秘密を生のまま解読する貴重な鍵になったのです。
この発見が示すのは、大質量星の爆発メカニズムには思いのほか明確な方向性(軸対称性)が存在する可能性があるという点です。
かつて主流だった「球形に近い爆発」モデルでは今回の観測結果を十分に説明できず、従来の単純な想定では合わない部分があることがうかがえます。
これは、超新星が重元素を宇宙にばら撒き銀河の進化に影響を与えるプロセスを理解する上でも重要な前進です。
爆発の形が分かれば、星がどのようにコア崩壊しエネルギーを運んでいるかという内部過程を逆算できます。
それによって、将来的に超新星爆発の起こり方や頻度、放出される元素の分布などについても、より正確な予測やシミュレーションができるようになると期待されています。
宇宙で起こる壮大な星の最期を理解することは、私たち自身の太陽系や生命の起源を考える上でも重要なピースと言えるでしょう。
最後に、この成果は人類の好奇心とチームワークの勝利でもありました。
超新星発見からわずか1日で世界中の望遠鏡と人員が連携して観測を成し遂げたことは、科学の機動力を示しています。
研究チームの一人、ESOのフェルディナンド・パタット氏は「今回の発見は私たちの星の爆発観を塗り替えただけでなく、国境を超えた協力と迅速な行動が宇宙の謎を解き明かす鍵になることを示しました」と強調しています。



























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>この発見が示すのは、大質量星の爆発メカニズムには思いのほか明確な方向性(軸対称性)が存在する可能性があるという点です
>爆発の形が分かれば、星がどのようにコア崩壊しエネルギーを運んでいるかという内部過程を逆算できます。
>それによって、将来的に超新星爆発の起こり方や頻度、放出される元素の分布などについても、より正確な予測やシミュレーションができるようになると期待されています。
とあるけど、
>ただし研究者たちは、この“ジェットで細長くなる説”が常に起きているとは限らず、星ごとに条件が違う可能性があることも指摘しています。
なのだから、この一例だけでは何とも言えず、正確な予測やシミュレーションに役立つとは限りませんね。
>この発見が示すのは、大質量星の爆発メカニズムには思いのほか明確な方向性(軸対称性)が存在する可能性があるという点です
いや、軸対称だとその中心軸は星の中心を通る事になるから、爆発の際に星の中心に加わる力はどの方向から見てもほぼ同じ力の強さになる筈ですので、それでは
>超新星爆発で生まれる中性子星という超高密度の天体は、爆発の反動で蹴り飛ばされるように猛烈な速度で移動することがあります。
という事が起きる事もあるという事を説明出来ません。
つまり今回、軸対称の爆発を観測出来たのは、偶々、今回観測した超新星が軸対称タイプの爆発を起こしたというだけであり、単なる一例に過ぎず、軸対称ではないタイプの超新星爆発も当然存在していると考えられ、今回の観測例を根拠にして
>大質量星の爆発メカニズムには思いのほか明確な方向性(軸対称性)が存在する可能性がある
と結論づけるのはあまりにも早計に過ぎます。
早くみたいな
ペテルギウスの超新星爆発
現在、ベテルギウスは中心核の水素を燃焼し尽くしていて、中心核ではヘリウムから炭素が出来るヘリウム核融合反応が起きているヘリウム燃焼過程にあると考えられています。
ベテルギウスの場合、10万年以内に中心核のヘリウムを燃やし尽くしてヘリウム燃焼過程が終了するという考えが現時点では主流のようです。
そして中心核のヘリウムが尽きた後は炭素の核が残り、炭素の核の周囲ではヘリウム燃焼が続くため、炭素の核が成長していき、やがて炭素の核融合反応が始まります。
この炭素燃焼過程は数百年は継続しますし(太陽の25倍の質量を持つ恒星の場合は約600年継続すると考えられていますが、ベテルギウスの質量はそれよりは軽く、太陽質量の20倍弱に過ぎないため、核反応が進行する速度が遅くなるため、炭素燃焼過程の継続期間は更に長くなります)、中心核の炭素を燃やし尽くした後には酸素、ネオン、マグネシウムの核融合反応が起こり…という具合に順に重い原子核の核融合反応が続き、これがニッケルや鉄の原子核が生成されるまで続きます。
従って、ベテルギウスが超新星爆発を起こすまでには最短でも数百年、長ければ10万年はかかりますので、今生きている人間の寿命が尽きる前にベテルギウスの超新星爆発を起こす事はありません。
夜空が明るくなるのを見たいんですよね!ロマンありますよね!だらだら解説されてますけど今起こっているかもしれませんよ。
自重で崩壊するときの角運動量でガスが猛烈に加速されて赤道方向に偏りができるであろうことと、磁場の密度が高まって極方向へガスが絞られてジェット状になると解釈しました。
このあたりはブラックホールのモデルと似ていても不思議ではないのでは。