健康な脳にも「ボッチ化回路」が存在するという発見

今回の研究により、マウスでは病気になるとボッチになるのは、脳の中のボッチ専用スイッチが免疫分子によってON状態になるからだと考えられることが示されました。
この視点は、「病気なのに学校に来ないのは根性が足りない」といった、ありがちな誤解を静かにひっくり返します。
感染は「だるさ」と「ボッチ化」を別々に起動する可能性があります。
たとえ感染に伴う「だるさ」に対して完璧な耐性を持つ個体でも、同時にボッチ専用回路が刺激されていれば、集団から離れるという選択肢を自然にとることになると考えられます。
さらにこの発見は、ここから先に調べるべき問題も示してくれます。
例えば、「この回路が強く働きすぎると、感染が治ったあとも過剰な自己隔離が続いてしまうのか」「逆に働きが弱いと、まわりに感染を広げやすくなるのか」といった、心と体のあいだに横たわる問題を、今後の実験で検証できる可能性が見えてきたからです。
もっとも今回の研究はマウス実験であり、人間にも同様の結果がそのまま当てはまると保証されているわけではありません。
ただ動物に広くみられる感染時のボッチ化という現象が、人間においても同様の仕組みで制御されている可能性はあるでしょう。
そして何より、「健康な脳にも眠る“ぼっち専用回路”」という発想そのものが、私たちの自己理解を少し変えてくれます。
病気のときに「今日は誰とも話したくない」と感じたとき、「今、自分の脳のなかでソーシャルオフスイッチが入り、まわりの人を守ろうとしているのかもしれない」と考えることもできます。
この研究は「ボッチでいることにも、生物学的な理由がある」と静かに教えてくれる成果だと言えるでしょう。























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