第4位:観察という行為そのものがもつ限界を理論的に解明

第4位は再び「観測とは何か?」に迫る理論です。
アメリカのカリフォルニア工科大学(Caltech)・ハーバード大学・Google Quantum AIの合同研究チームによって、どんなに高度な技術があっても、物事が進む時間や因果構造、さらには物質の状態(相)など、自然界の根本的な性質を十分に知るための観察ができない示されたのです。
私たちは適切な技術と適切な方法があれば、どんな現象も観測は可能だと考えがちですが、この理論ではその常識にNOを突き付け、観測の限界を描いてきます。
その主な原因は計算量にありました。
たとえば水と氷の違いを確かめるならば、センサーで硬さを測るという単純な方法でも見分けがつきます。
実際、単純な硬さをもとにした水と氷の違いを見分ける(観察する)計算アルゴリズムはほんの十数行で記述できてしまいます。
しかし量子の状態など複雑なものの測定に必要な計算量は膨大になります。
研究では物体の状態を判別するために必要な計算の量が調べられており、その結果、ある限界点を超えると必要な計算量が爆発的に増加することが示されたのです。
言い換えれば、目の前にある量子の状態(相)が存在していても、私たちにはそれが確かめられない場合が出てきてしまうのです。
研究者たちはこれを単なる計算力不足といった技術的問題ではなく、観測という行為の持つ本質的な限界を示すものだと考えています。
この研究は、宇宙のいくつかの性質には、原理的に近づけない限界があり、それが私たちの完全な理解を妨げているのかもしれない、という新たな視点を提示しています。
先ほどは速度の限界、出力の限界を紹介してきましたが、この研究は観測の限界を示した点で画期的と言えるでしょう。



























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