第1位:質量の起源は『空間そのもの』とする新理論が発表

素粒子物理学でよく耳にする「ヒッグス粒子」は素粒子などに質量を与える特別な粒子とされています。
ヒッグス粒子はヒッグス場を形成しており、粒子がその場を通り抜ける際に「抵抗」のような作用が生じ、その結果、素粒子などに質量が与えられると考えられています。
(※ヒッグス場は光子には絡まないので光子に質量はありません)
ところが今回の研究チームは「空間の形」そのものが質量の起源になるという理論を打ち立てました。
一体どういうことでしょうか?
物理学において「力の正体は形だ」と言われても、ピンとこないかもしれません。
しかし、重力についてはすでにこうした考え方が広く知られています。
アインシュタインの一般相対性理論では、重力は空間の形の「ゆがみ」が原因だとされます。
巨大な質量があると、その周囲の空間の形が凹み、他の物体がそこへ引き寄せられるというイメージです。
つまり、物理学では「空間の形」が現実の現象と結びついていることは珍しくありません。
それならば、重力以外の力や粒子の性質も、空間の「形」から生まれる可能性はないでしょうか?
答えを得るため研究者たちは、高次元空間に発生したねじれが時間経過と共にどのように進展するかを調べました。
そして計算を進めていくと、そのねじれはだんだんと整っていき、ついに一つの安定した状態に落ち着くことが分かりました。
いわば、空間自身が「これが一番落ち着く形だ」と決めるように自然と安定点を見つけたのです。
そして、その安定した「ねじれ具合」を数値に置き換えると、驚くべき一致が見られました。
その値は、ヒッグス理論で扱われる重要な数値、約246ギガ電子ボルト(GeV)と同じスケールにありました。
つまり、ヒッグス場という外部の特別なエネルギー場を持ち込まなくても、空間そのもののねじれ構造を用いるだけで、粒子に質量が生まれる条件が再現されたのです。
言い換えれば、宇宙の空間は単なる「入れ物」ではなく、それ自体がエネルギーを秘めた「能動的な存在」で質量の起源になり得るということになります。
もしこれらが正しければ、これまで別々だと思われてきた重力や量子、宇宙というスケールの異なる現象が、実は高次元時空の「形の変化」が投影されたものという一つのシンプルな原理で統一的に理解できる可能性があります。
これは物理学における「幾何学による統一」という大きな夢に一歩近づく重要な可能性です。
もしかすると数年後のノーベル賞授賞式には、時空のゆがみが、基本的な力や粒子の性質を決めることを発見した功績で、本論文の研究者たちの名が連なっているかもしれません。



























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