子どもたちの素朴な質問に答える「NHK夏休み子ども科学電話相談」の中で、ブラックホールに関する面白い質問が寄せられていました。
今回は8月30日放送分より、その内容を紹介します。
「ブラックホールが地球を吸い込むと、どうなる?」
質問者:もしブラックホールが地球を吸い込んだら、どうなるんですか?
近づいたら最後、万物を飲み込むといわれているブラックホール。もし吸い込まれたら、完全に消滅してしまうのでしょうか?それとも異次元空間に飛ばされたり…?想像が膨らむ面白い質問です。
質問に答えるのは、天体・宇宙を専門に研究している本間希樹先生です。
本間先生は、吸い込む側のブラックホールと吸い込まれる側の地球についてそれぞれ説明をしてくれました。
まず、吸い込む側のブラックホールは少し重くなるくらいで、特に変わった変化はないそうです。おそらく地球を吸い込んだくらいでは、ブラックホールのお腹は満たされないのでしょう。恐ろしや、ブラックホール。
そしてブラックホールに落ちた地球は、バラバラに砕けてしまいます。私たちの母なる地球が、いとも簡単にバラバラにされてしまうところを想像すると、ブラックホールの強大さを感じます。
では、どうして地球はバラバラになってしまうのでしょうか。
それは、潮汐力という力が働いてるからです。潮汐力とは、簡単に説明すると、重力源に近い側と遠い側で重力が異なり、物体を変形させようとする力のことです。この力の身近な例としては、月と太陽の引力によって生じる潮の満ち引きなどがあります。
よって、もし人がブラックホールに足先から落ちるとすると、非常に強い潮汐力が働いて足先と頭の先で異なる大きさの重力が働きます。その重力の差によって、人の身体はどんどん縦に伸びていき、最終的には引きちぎられてしまうのです。
しかし、ここで本間先生が驚きの発言をします。
本間先生:もし潮汐力に耐えられることができたら、ブラックホールのなかに入れるのです。
先生いわく、ブラックホールに入って後ろを振り向くと星空が見えるのだとか。その光景はさぞかし美しいことでしょう。ブラックホールに潜入可能な、原子レベルで強靭な身体が欲しいものです。
しかし、実際にブラックホールの中で何が起こるはわからないとのこと。もしブラックホールに入ることができて、そこで何が起きているかわかっても、光すらも出られないので、結局情報を誰かに伝えることができません。したがって、ブラックホールの中身は科学者でもわからないのです。
もしブラックホールに入れたら、物理学を大きく覆すような発見ができるかもしれないそうなので、近い将来ブラックホールに入れるような科学の進歩を期待しましょう。
「夏休み子ども科学電話相談」の放送は8月31日をもって終了しました。NHKのホームページにて聞き逃し配信など行われているので、ぜひチェックしてみてください。
■夏休み子ども科学電話相談