新種のスギは「恵まれた環境」で暮らしていた?
見つかった球果化石は、直径約1センチの球形で、短い軸のまわりに25枚の鱗片が、らせん状に並んでいました。
針葉樹の球果をつくる鱗片は、もともと2枚の葉が癒合してできたもので、その癒合のしかたは分類の重要な手がかりになります。
この化石では、2枚の葉が根元では完全にくっつき、先端では分かれていたことから、スギ類に属することが分かりました。
ただし、現在生きているスギ類にも、これまで知られていた化石にもぴったり一致するものはなく、新属・新種の「カミキネンスギ(学名:Kamikistrobus primulus)」と命名されました。

この化石の鱗片は、盾のような形をした長方形の部分と細い柄を持ち、互いにぎっしり詰まらず、少し隙間をあけて並んでいました。
種子そのものは残っていませんでしたが、鱗片の内側には種子が落ちた跡とみられる2つのくぼみがあり、鱗片を残したまま種子を散布していたと考えられます。
この点は、鱗片が密に集まり、散布時に鱗片が脱落するヌマスギとは異なります。
さらに重要なのは、カミキネンスギが乾燥への適応をまだ持っていなかったことです。
一般に、球果の鱗片が密に集まるのは、種子を乾燥や火災から守るためと考えられています。
約7600万年前になると、そのような密な鱗片を持つスギ類が現れます。
これは、被子植物の拡大によって針葉樹が住みにくい環境へ追いやられ、より乾いた場所に適応していった変化を示している可能性があります。
つまりカミキネンスギは、スギ類がまだ比較的恵まれた環境で繁栄していた時代の姿を伝える、非常に貴重な化石だといえます。




























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