グルカゴンは肝臓の「代謝の記憶」を変えていた可能性がある
午後の実験では、両群の血糖値、インスリン、グルカゴンの条件はそろえられていました。
それにもかかわらず、朝にグルカゴンが高かった群では、肝臓の糖の取り込みと貯蔵が弱くなっていました。
これは、肝臓が昼食後の条件だけでなく、数時間前のホルモン環境にも影響されていたことを示しています。
研究チームはこの現象を、肝臓の「代謝の記憶」として捉え、その分子メカニズムとしてグルコキナーゼという酵素に注目しました。
グルコキナーゼは、肝臓に入ってきたグルコースを細胞内で使える形に変え、貯蔵や代謝へ回すために重要です。
いわば、肝臓に入ってきた糖を細胞内にとどめ、貯蔵へ回しやすくする酵素だと考えると分かりやすいでしょう。
朝にインスリンだけを高めた群では、午後の実験前にグルコキナーゼのmRNAとタンパク質が増えていました。
しかし、朝にグルカゴンも高めた群では、この増加が見られませんでした。
つまりグルカゴンは、インスリンが肝臓に作ろうとしていた「あとで糖を取り込みやすくする準備」を妨げた可能性があります。
その結果、午後に糖が入ってきても、肝臓は十分に糖を取り込めず、グリコーゲンとして蓄える量も少なくなったと考えられます。
ただし、今回の実験は、通常の朝食をそのまま再現したものではなく、イヌを用いてホルモン環境を人工的に制御したものです。
研究者たちも、4時間にわたりグルカゴンを高める条件は、一般的な食事で起こる自然なホルモン変化を完全には再現していないと説明しています。
それでも、この研究は、血糖値が1回の食事だけで完結するのではなく、朝から昼へと続く時間の流れの中で調節されている可能性を示しています。
今後は、実際の食事条件や人間での研究を通じて、朝のホルモン反応が1日全体の血糖管理にどう関わるのかを調べる必要があります。
朝食を摂った肝臓は、昼食を迎えるとき、決してまっさらな状態ではないのです。




































大相撲力士は、朝の部屋稽古をした後、11時ころにちゃんこを摂ります。長年の経験と工夫で、グルカゴンの出を悪くして効果的に体重増加させる手法をあみだしたのでしょうか。