海外サイト”The Conversation“の子どもが専門家に質問するコーナーで、興味深い議題があがっていました。
なんで電子レンジで使っていいコップとだめなコップがあるの?だめなコップやお皿を電子レンジに入れたらどうなるの? ーエディ、8歳、メルボルン
良い質問ですね。ふだん皆さんがお世話になっている電子レンジですが、意外と私たちは仕組みをわかっていないのかもしれません。
簡単に言うと、そのコップやお皿がどんな材質で出来ているか、さらにはどんな形をしているかが関係しているんです。電子レンジは食べ物をその内側から温めます。その際、科学者が言うところの「マイクロ波」を使います。
それでは、専門家の方の答えを見てみましょう。
マイクロ波って何?
マイクロ波とは、一種の電磁波です。ちょうど、日光や電波、X線(病院で骨の写真を取る時に使われるもの)のようなもの。電子レンジに食べ物を入れてスイッチを入れると、マイクロ波は食べ物の中にある水の分子をそれはもう速く振動させます。この振動で食べ物はあたたまるんですね。
なんで金属は危険なの?
金属を電子レンジに入れるのはいい考えではありません。金属の内部では電子が自由に動き回っています。電子とは、原子中にあるマイナスの電荷をもったとても小さな粒子です。金属で電気を操れるのはそのためです。電気をあちらからこちらへ運ぶことができるのです。
マイクロ波は電子を押したり引っ張ったりします。アルミホイルやフォークのように、金属物に縁があったり尖った部分があったりすると、電子が先端に積み重なることがあります。これにより火花が出たり、火が起こったりするのです。
そういう形をしていない金属物からは火花は出ないかもしれませんが、とても熱くなることはあります。そのため、電子レンジに入れた物によっては、発火することもあります。
どんな材質だと安全なの?
プラスチックやガラス、陶器などは電子レンジで使っても普通は安全です。なぜなら、これらの材質は水を含まず、電子が自由に動き回らないからです。しかし、それでも気をつける必要はあります。プラスチック容器の中には、薄くて溶けたり、食べ物の中にプラスチックが溶けたりするものもあるからです。
その線引はというと、実のところ、テストされない限り、どの材質がどのように振る舞うかはわからないのです。なので、指針としてはテストされていて、レンジで使っても安全だと分かっているものだけを使いましょう。
電子レンジの扉の内側にある金属の網はどうなの?
いいところに気づきました。金属の扉の内側には小さな穴がたくさん空いた金属の網があります。それがなぜあるのか、またなぜ火花がちったり、発火したりしないのかを説明しましょう。
日光やX線、マイクロ波のような電磁波はそれぞれが違った「波長」を持っています。海の波と同じように、波の頂点の間には距離があります。
日光とマイクロ波の唯一の違いというのが、波の間がどれだけ離れているかということです。光の場合、私たちが「波長」と呼ぶ、頂点間の距離は非常に短く、髪の毛の幅の何千分の1の小ささです。
普通の電子レンジの場合、波長はもっと長く、およそ12cmあります。これが、扉の金属板に約1mmの穴が空いている理由です。
光の波長は穴よりもずっと小さく、外に出ることが出来ます。そのため、中がどうなっているのか見ることができます。
しかし、マイクロ波の波長はこの穴には大きすぎるため、金属板で跳ね返ります。よって、マイクロ波は外に出ることができないのです。
意外と知らない電子レンジの雑学、いかがでしたでしょうか。こういった疑問を持つことで、何気ない家電にも色々な科学的工夫がなされていることに気付かされますね。私たちの身の周りにも、まだまだ知らない知識が隠れているのです。
via: The Conversation / translated & text by nazology staff