・国連にて気候変動についての報告書が公表され、地球温暖化に対する大きな警鐘が鳴らされる
・報告では、世界の平均気温が「1.5度」上昇する場合と「2度」上昇する場合の比較に重点が置かれた
・いずれも人類にとって危険な「未知の領域」であるが、少なくとも気温上昇を「1.5度」に抑制するために各国の協力が必要不可欠である
国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、世界の平均気温はここ100年でおよそ1度上昇しており、このペースでは2030年ごろにはその差が1.5度以上に達する可能性があるとのことで、世界に対して大きな警鐘が鳴らされています。この報告書は、韓国の仁川(インチョン)で開かれた第48回総会で発表されました。
報告書では、世界の平均気温が「1.5度」上昇する場合と「2度」上昇する場合の比較に重点が置かれ、現実的には地球温暖化を「1.5度付近」に抑えなければいけないことが叫ばれています。その「0.5度」の差が、熱中症や海面上昇など様々なリスクを大幅に引き上げてしまうのです。
人間への直接的な影響もさることながら、最も影響を与えるのはやはり「自然」です。昆虫は「1.5度」の上昇と比べて「2度」平均気温が上昇した場合、生息場所が激減してしまうと考えられており、それは農作物の「授粉」が機能しなくなることを意味します。
また、海は気候変動の影響により「酸化」しています。そしてそれが海の生態系に影響することで、あるモデルにおいては「1.5度」の上昇と比べて「2度」平均気温が上昇した場合、漁獲量減少の幅が「2倍」になってしまうといった計算もされています。
報告書では、気温上昇を「1.5度」の水準に抑えるためには、二酸化炭素の実質的な排出量を2030年までに2010年の水準の「半分近く」にまで減少させ、2050年ごろには実質「ゼロ」にする必要があるとされています。
元NASAの研究員ジェイムズ・ハンセン氏は、「1.5度」と「2度」の気温上昇はいずれも人類にとって未体験の「危険なテリトリー」であると説明。しかし一方で、「1.5度の上昇は、次の若い世代の人々に時代を取り戻すためのチャンスを与えるものです」と述べ、両者の間には大きな差があることも指摘しています。
気候変動は、私たちが思うよりも急速に進んでいます。その現実を直視するものとして、今回の報告書はとても重要なもの。私たちの「ホーム」である地球を守るため、今まで以上に各国の協力姿勢が要求されています。
via: theguardian / translated & text by なかしー