脳は見るものを「勝手に」解釈する
アンドリーナ氏は、人間の脳においても同じことが起こっていると指摘します。
私たちが物を見るとき、脳はそれが「何であるか」をすばやく推測しようとします。例えば、ダイヤの一個一個を見ながら、頭を前後に動かしても、錯覚は起きません。これは、脳がダイヤの形を正確に推測できているからです。
反対に、黒点を見ながら頭を前後に動かすと、視野に入ってくるサークル上の全ダイヤを処理できないために錯覚が起きます。要するに、脳は、処理しきれない部分を「サークルがぐるぐる回転している」という仮現運動に置き換えているのです。
また、錯視を起こすためには、ダイヤの形も重要な役割を果たしています。頭を前に動かすと、サークル自体の大きさは当然膨張して見えますが、ダイヤの端がそれぞれ斜線型になっていることで、サークルの全体は内側に収縮して見えるようになります。これと同様に、顔をサークルから引き離すとサークルは小さくなりますが、斜線の効果で今度は外向きに回転して見えてしまうのです。
このように、私たちはいつも何かをありのままに見ることができているとは限りません。というよりも、脳は見ているものを勝手に解釈してしまいます。雲の形が人の顔に見えたり、星の並びが動物の形に見えたりするのも「錯視」のひとつです。
他にも色々な錯覚がありますが、あまり熱中しすぎると酔ってしまうので注意してくださいね!
reference: newscientist , techxplore / written & text by くらのすけ