■アメリカで火葬された男性の遺体から、放射性物質が揮発し、火葬場のスタッフが放射能に晒されるという事件が発生していた
■放射性医薬品は検死解剖の際に見落とされやすい
■スタッフに尿検査を行なったところ、患者に使用したものとは別の放射性物質が検知され、以前の火葬でも放射能を浴びていたことが判明
日本も他人事ではありません。
2017年、アメリカである69歳の男性が火葬されました。膵臓癌を抱えていた彼は、深刻な低血圧症が原因で病院に搬送され、その2日後に亡くなりました。
この男性、実は搬送先の病院に入る前日、別の病院で放射性医薬品を癌の腫瘍部に注射していました。しかし火葬場のスタッフがこれに気づかずに遺体を火葬した結果、揮発した放射性物質を浴びてしまったのです。
詳しい報告は、今年2月26日付けで「JAMA Network」上に掲載されています。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2725673?guestAccessKey=d1c4b9d2-5808-487c-a3ca-a6dd4d530da9&utm_source=JAMA%20Network&utm_medium=referral&utm_campaign=ftm_links&utm_content=tfl&utm_term=022619
原因は放射性化合物
男性に使用されたのは、「ルテチウム-177標識ソマトスタチンアナログ(Lu-177-DOTA-TATE)」と呼ばれる放射性化合物です。火葬の際、男性の体内には、周囲に潜在的な危険を及ぼすのに十分な量が含まれていました。
こうした付随的な危険を無くすため、アメリカの医師たちは、放射性医療に対して厳密な対処法を模索しているのですが、死亡患者については放射性検知が困難だとのこと。
アメリカのミネソタ州にあるメイヨー・クリニックの医師は「体内の放射性物質は独特なあり方をしているため、検死解剖の際に見落とされやすい」と指摘します。