他の遺体からも放射能が…?
事件が発覚したのは、男性に放射性治療を行なった病院の医師が彼の火葬を聞きつけ、連絡してきたことがきっかけ。医師は遺体に放射性物質が残存していることを懸念し、同病院に所属する「放射線安全管理部」と共に火葬場の放射能汚染調査を実施しました。
そしてガイガー・カウンターを使用して調査したところ、微量ながらも男性に使用された「Lu-177-DOTA-TATE」に含まれる放射性核種が検出されました。
火葬場で放射性物質の存在が公式に報告されたのは、今回が初のことでしたが、事態はより深刻でした。
というのも、火葬場のスタッフに尿検査を実施したところ、「Lu-177-DOTA-TATE」ではなく、「テクネチウム99m」という別の放射性物質が検出されたのです。
つまりスタッフたちは、別の遺体を火葬する際にも、揮発した放射能に晒されていたということになります。放射能の安全管理を専門とするケビン・ネルソン氏は「これまで見逃していたケースを考慮すると、潜在的な被害は予想以上に甚大なものとなっているかもしれない」と指摘します。
不幸中の幸いか、火葬場やスタッフから検出された放射線の量は低く、健康に害を与えるレベルではないようです。
しかし、マウント・シナイ医科大学のパオロ・ボフェタ医師によると「微量ながらも放射線を浴び続ければ、ガンや放射能による被害が生じる可能性は十分にある」とのことで、注意と促しています。
アメリカでは遺体のおよそ半数が火葬されますが、わが国日本ではほぼ100%。医療との連携にもよりますが、日本も他人事ではなさそうです。