■美しいパンケーキを作る方法から、緑内障の外科手術の技術向上に関するヒントが得られた
■目とパンケーキには、物理学上の共通点がある
■小麦粉に対する水分量を指すベーカーズパーセントを175にすれば、水分が円滑に抜けて、均等に焼き色がつく
みんな大好きパンケーキ。
手作りパンケーキには、クレーターのような模様が入ったり、縁に沿って輪のような焦げ目が入ったりすることがよくあります。「手作りならでは」といえばそのとおりですが、たまにはパーフェクトなパンケーキを焼いてみたくありませんか?
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームが、美しいルックスを備えたパンケーキを作る方法を示しました。そしてなんと、その仕組みを理解することで、緑内障の外科手術の技術向上に役立つそうです。
パンケーキと緑内障…?月とスッポンほどにかけ離れたワードの組み合わせに戸惑ってしまいますが、実は私たちの目とパンケーキには、物理学上の共通点があるのだそうです。
「縦横比」と「ベイカーズパーセント」
パンケーキの分析を理解するには、いくつかの用語を知っておく必要があります。まずは、生地の体積をパンケーキの直径で割った「縦横比」。縦横比が小さいほど、パンケーキは厚くなります。また、小麦粉に対する水分量を表す「ベイカーズパーセント」も重要です。ベイカーズパーセントが高いほど、生地はゆるくなります。
研究チームは、世界中から集めた14種類のパンケーキのレシピを比較。その結果、レシピによってパンケーキの縦横比が大きく異なることが明らかになりました。たこ焼きに似た丸い形を持つオランダの伝統的なパンケーキの一種「ポッフェルチェ」は、縦横比3です。これに対して、クレープの縦横比は300と、大きな違いです。
一方で、ベイカーズパーセントは縦横比ほど大きく異ならず、100〜255の範囲に収まったものの、焼き色の付き方に興味深い差をもたらしました。ベイカーズパーセントが低いと、パンケーキの表面にクレーターのような模様が生まれます。
生地を加熱すると、中の水分が蒸発しますが、生地の粘度が高すぎるとその水分が閉じ込められてしまいます。上に向かおうとする水分が生地に捕らえられた結果、クレーターができるのです。
その反対に、ベーカーズパーセントが高すぎると、パンケーキの周りに黒い輪ができるだけでなく、全体に焦げたスポットができ、無数の小さな穴が空いてしまいます。
これは、生地の水分量が多すぎるため、中の水分がすぐに蒸発し、火が強くなくても生地が焦げるからです。
研究チームは、理想的なベーカーズパーセントが175であることを突き止めました。このルールを守れば、水分がスムーズに逃げるので、均等に焼き目がつくのだそう。また、極小サイズのパンケーキでは、生地の厚みに関係なく、同じ効果が期待できるようです。