・冷凍状態で発掘されたマンモスの化石に生命の「設計図」をもつ細胞核が使える状態で維持されていた
・取り出した細胞核をマウスの卵子に移植すると、マンモスのたんぱく質ができようとする動きが観察され、細胞分裂の直前までいった
・近畿大学の研究所では「マンモス復活プロジェクト」が進行中
冷凍状態で発掘されたマンモスの化石から、細胞を取り出したところ、そこに生命の「設計図」が残されていることがわかりました。この研究は近畿大学などの研究チームにより雑誌「Scientific Reports」に報告されています。
Signs of biological activities of 28,000-year-old mammoth nuclei in mouse oocytes visualized by live-cell imaging
https://www.nature.com/articles/s41598-019-40546-1
そもそも細胞核って?
私たちの体を作る細胞の中にはDNAが含まれています。生物が誕生するときには、このDNAに書かれた「設計図」を元にたんぱく質が作られ、そのたんぱく質が細胞となり、細胞が分裂して増えると人体のパーツをつくります。つまり、細胞核には生物が誕生するための「設計図」があるといえるのです。
この「設計図」を元にたんぱく質を作る「工場」となるのが卵子です。研究チームは、マンモスの化石から取り出した細胞核をマウスの卵子に移植しました。
するとマウスの卵子の中で、マンモスのたんぱく質ができようとする動きを観察することができました。しかし細胞分裂の直前の段階で止まってしまったとのこと。マンモスのDNAが長い年月で受けたダメージが大きかったのではないかと考えられています。
この研究は化石の中にマンモスの「設計図」を持つ細胞核が存在することを世界で初めて示しました。さらにすごいのは、永久凍土の中で2万8千年も「設計図」が使える状態で維持されていたことです。