「プラシーボ」より効果的な「心地よい香り」
ドレスデン大学病院の研究チームは、同病院に入院している40名のPTSD患者を対象に調査を敢行。被験者には、まず5日間にわたって睡眠活動を測定してもらいました。
手首につけたセンサーで「眠りに落ちるまでの時間」や「睡眠の総時間」「眠りに落ちてから起きた回数」といった客観的な数値、そして毎朝のアンケートによる「寝心地」「起床後の回復度」「夢の質」といった主観的な評価付けの両方を行なっています。これによってPTSD患者の平均的な睡眠活動の基準線を割り出します。
次に40名の被験者には「プラシーボ治療」と「心地よい香り治療」の2グループに別れてもらい、再び5日間の観察を行いました。このとき、両グループともに鼻部分にある装置を付けてもらい「プラシーボ組」には普通の空気が、「香り組」には被験者が選択した良い香りが漂う仕組みにしました。
香りの選択肢は、バラ・ラベンダー・オレンジ・ピーチで、被験者の43.8%はオレンジを選び、次いで、ピーチ(31.2%)、バラ(18.7%)、ラベンダー(6.3%)でした。

すると「香り」グループには、睡眠時に見る夢の強迫性スコアが下がっており、反対に「プラシーボ」グループは、最初5日間に測定された基準線より悪化していることが判明しました。
そして香り治療には逆効果になるネガティブな反応は何も見られず、睡眠の質を安全に高めることが明らかになったのです。
PTSD患者は、柑橘類や果物の香りを好んで選んでいたそうなので、寝つきの悪い夜は爽やかでフルーティーなアロマオイルやお香を焚いてみると良いかもしれませんね。