2. 物体がブラックホールに飛び込む様子は永遠に「見えない」
ブラックホールの外縁は「事象の地平線」と呼ばれ、その先がどうなっているかは外からはまったく分からない。
事象の地平線を少しでも越えた物体は、二度と戻ってくることができない。重力があまりにも強すぎて、それから逃げることができないからだ。

人や物がブラックホールに近づくところを、外から観察したとしよう。事象の地平線に近づくほど、その人や物の進む速度は遅くなるように見えるはずだ。また、巨大な拡大鏡に映したように、引き伸ばされ、歪んで映るはずだ。
やがて事象の地平線に到達した物体は、観察者の目には静止したように見える。まるで停止ボタンを押したかのように、物体はまったく動かず、事象の地平線の表面にピッタリと貼り付いたかのようだ。
観察者の目には、あたかも物体が事象の地平線を越えていないかのように映る。時間が経つにつれて、光の波長はますますずれて、物体はブラックホールの暗闇に到達する前に灰のように見えなくなる。