アリ嫌いの捕食者を遠ざける「アリとご近所」作戦
また、ハエトリグモの中には、さらに凶暴なヤマシログモの餌食となるものもいる。このクモの特徴は、獲物を捕える際に口から粘液のついた糸の塊を吐くことだ。ヤマシログモが持つこの魔の手から逃れるため、ハエトリグモはアリの巣の近くに巣を作る。
これは、アリが分泌する嗅覚成分を嫌ってアリの巣に近付こうとしないヤマシログモの性質を利用するためだ。
通常はハエトリグモを狙いやすいようにその巣のすぐ上に住処を作ろうとするヤマシログモだが、もしハエトリグモの巣がアリの巣のすぐ側にある場合は話が別で、その近所に住み着こうなんて思いもしないようだ。

また、ハエトリグモにとっては何とも生きづらい世の中だが、ハエトリグモはアリの獲物にもなり得る。
でも、この問題についてもハエトリグモは対策済みのようで、アリには到底こじ開けることができない頑丈な「アリよけ」機能付きの巣を作るという。
巣には絹製のスイングドアが付いており、ハエトリグモはこれを持ち上げることで巣を出入りすることができる。
そしてこのドアをこじ開けようとするアリは滅多にないようだ。賢い…。
「知力は腕力に勝る」とはこのことかもしれない。