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地球の物理法則が通用しない…木星の予測不可能な磁場が明らかに

2019.07.18 Thursday

Credit:pixabay

Point

■木星の磁場は「直流電流」よりも「交流電流」の割合が多くを占める

■木星は太陽系惑星の中で最大の磁場を持ち、サイズの大きさや自転速度の速さなどが原因で強力な電流が流れ込んでいる

■木星内の北極と南極で磁場の大きさが異なるので、それぞれに生じるオーロラの形も異なっていた

木星は太陽系惑星の中で最も強い磁場を持つ特異な星だ。

そのあまりの強さに、木星の磁気圏(磁力線が最も豊富な大気の領域)を流れる電流は、予測不可能な動きを見せることが知られている。

そして今回、2016年から木星探査を続けているNASAの探査機「ジュノー」の送信データを分析したところ、木星の磁場は「直流電流」が予想に反して少なく、反対に「交流電流」の割合が多くを占めていることが判明した。

そして木星内の北極と南極で磁場の動きが大きく異なり、それによってオーロラもそれぞれに違う形で生じることがわかった。

研究の詳細は、7月8日付けで「Nature Astronomy」上に掲載されている。

Birkeland currents in Jupiter’s magnetosphere observed by the polar-orbiting Juno spacecraft
https://www.nature.com/articles/s41550-019-0819-7.epdf

「直流」か「交流」か

木星の周囲を飛ぶジュノーは53.5日ごとに惑星の重力場に入り込み、地表わずか4000kmから磁力データを収集する。その中で木星の磁場は「直流」が少なく、「交流」が多いことが明らかになっている。

直流とは電流の向きや大きさ、電圧が一方通行で変化しない電気のことで、電池を使う機器は基本的に直流だ。

一方、交流とは電流の向きや大きさ、電圧が周期的に変化している電気のことで、コンセントを使う電化製品は交流となっている。コンセントのプラグの向きをどちらにしても電気が流れるのは交流システムのためだ。

Credit:pixabay

地球上では19世紀の後半に、トーマス・エジソン(直流派)とニコラ・テスラ(交流派)の間で、電力供給の方法をどちらにするかで論争が繰り広げられた歴史がある。

米国エネルギー省(DOE)によると、直流は異なる電圧間での電力変換が難しいため、結果的にテスラの交流がアメリカの基準となったそうだ。それでも電池式デバイスは今でも多く流通しているため、直流電流も大いに支持を受けている。

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