フィクション小説は共感力を育てる
フィクション小説の読書に共感を育む効果があるということも、他の研究で示されています。
共感とは、他者の考えを感じ取り、理解する能力を指します。
これは心の理論(TOM)課題検査という、高機能自閉症やアスペルガー障害を検査する、簡単な心理学のテストで調べることができます。
共感力が高まると、相手のなぜそう考えるのか、またはなぜこういう行動を取るのかといった思考力が強化され、そこから立ち返って自分の行動や発言、態度などを適切に選択できる能力が備わると言われています。
ただ、読書によって共感力を高める効果は、短時間の読書では認められませんでした。人の性格や思考に大きく影響を及ぼす効果は、長時間の読書が必要となるのです。
また、ノンフィクションの小説では、こうした共感力の向上が現れないことも報告されています。
これは物語という形態が高い感情の伝達力を持つことを示しています。虚構の物語のキャラクターたちに対する想像力は、共感力の向上と深い関わりを持つのでしょう。
フィクション小説を読むことは、他者の立場になって考える力を養い、また自分の考えの管理や、探求、修正に非常に有効な効果を持っているようです。
普段は、親しむコンテンツが動画やゲームばかりだという人は、たまには本に目を向けてみるのも良いかもしれません。