Point
■地球から12光年先にある「GJ 1061」という恒星の周囲に、地球サイズの系外惑星が3つ発見される
■そのうち一つは、水が液体状で存在可能な範囲(ハビタブルゾーン)に属していることが判明
■その惑星の公転距離は地球-太陽間よりも近いが、中心星であるGJ 1061の温度が低いため、水が蒸発することなく存在可能だという
地球サイズの系外惑星が新たに3つ発見されました。
3つの惑星は、地球から12光年離れた場所にある「GJ 1061」という恒星を中心に公転しています。
観測を行なったドイツのゲオルク・アウグスト大学によると、そのうちの一つは水が液体状で存在することのできる領域内(ハビタブルゾーン)に位置しているとのことです。
ちょっと遠いですが、人類の移住先としては火星より優れているかもしれません。
研究の詳細は、8月13日付けで「arXiv」に掲載されています。
https://arxiv.org/abs/1908.04717
移住先として合格?
GJ 1061は、太陽系から20番目に近い恒星として発見され、分類では「赤色矮星」に属しています。質量は太陽のわずか12%、半径も16%ほどしかありません。
サイズ・質量・恒星分類としては、太陽系に一番近い場所にある「プロキシマ・ケンタウリ」にほど近いですが、フレア活動はケンタウリほど活発ではないといいます。
今回発見された3つの系外惑星は、チリのラ・シーヤ天文台にある高性能分光器「HARPS」が使用されました。
3つの惑星は、中心星のGJ 1061から近い順に「GJ 1061 b」「GJ 1061 c」「GJ 1061 d」と名付けられています。公転周期は、bが3.204日、cが6.689日、dが13.03日で、質量はそれぞれ地球の1.4倍、1.8倍、1.7倍であることが分かりました。
このうち惑星dのみがハビタブルゾーンに収まっていることが判明しています。
dの公転軌道は、地球-太陽間と比べて中心星に近い場所を公転しているのですが、中心星の光度がそこまで強くないため、結果的に水が液体状で存在できる適度な放射エネルギーを受け取ることができます。
また研究チームによると、およそ6.7日の公転周期を持つ惑星cもかろうじてハビタブルゾーンに含まれている可能性があるとして、調査を継続中とのことです。
もしも地球の温暖化が抑えられなくなれば、人類は新たな惑星に移住するより他に方法はありません。12光年先にある惑星dに引っ越すには、きわめて高性能の移動船が必要になりますが、移住先の候補としては合格ラインに十分達しているのではないでしょうか。