
Point
■イギリス・ワイト島にて、ソテツの雄花と雌花が6000万年ぶりに復活した
■ソテツは恐竜時代に地球上で繁栄し、その後、子孫の生息域は熱帯や亜熱帯地方に限られていた
■ソテツが復活し始めているのは、近年深刻化する地球温暖化が原因と考えられる
地球温暖化が予想外の事態を引き起こしています。
イギリス南部沿岸のワイト島にある「ヴェントナー・ボタニックガーデン」。
この屋外庭園にて、ソテツ(Cycas revoluta)の雄花と雌花が約6000万年ぶりに復活したのです。ソテツが自生するのは温暖な地域に限られており、南西諸島や日本の九州南端に見られます。
しかし、イギリスでソテツの雄と雌がそろうのは人類史でも初めてのこと。専門家によるとこの現象は、近年進行しつつある温暖化が引き金となっているようです。
6000万年ぶりに雄花と雌花が再会

ソテツは裸子植物の常緑低木で、恐竜時代に栄えた植物の生き残りです。
氷河期で地球の温度が一気に低下するとソテツも徐々に姿を消していき、今ではアラスカや南極に多くの化石を残しています。
生き残っている子孫たちの生息範囲も、熱帯や亜熱帯などの温暖な場所に制限されていました。
その中で、ヴェントナーの所長ジョン・カーティス氏は「ここ数十年で地球の平均気温が上昇し続けていることが、イギリスでソテツが蘇った原因だ」と指摘します。

実際、ヴェントナー植物園では、2012年の時点ですでにソテツの雄花が復活していたのですが、雌花がおらず独り身のままでした。ところが今回ソテツの雌花がついに復活したことで、子孫を繁栄させることができるようになったのです。
ソテツは一般的に飛翔昆虫によって受粉が行われますが、カーティス所長は「人工的に交配させ、数を増やすチャンスだ」と話しています。
またイギリスでは、ソテツと同種の植物はあまり頑丈ではないものとして知られていましたが、最近の熱波の影響により球果や葉の成長が促進されているとのこと。
地球に緑が取り戻されるのは良いことですが、ソテツの復活はどう判断するべきでしょうか。今後の研究に期待です。