Point
■地球から550光年離れた場所で、火山活動の激しい太陽系外の衛星が発見される
■主星である「WASP-49b」が発する重力の影響で、衛星が加熱され火山活動が活発化している
■衛星表面は高熱の溶岩マグマに覆われており、イメージとしては『スター・ウォーズ』に登場する「惑星ムスタファー」に近い
まるでダース・ベイダー誕生の地を思わせる「衛星」が発見されたようです。
地球から550光年先にある太陽系外惑星「WASP-49b」を主星とする衛星が、非常に激しい火山活動を伴っているとスイス・ベルン大学が報告しました。その月の表面は、どうやらドロドロした溶岩であふれ返っているそうです。
研究チームのApurva Oza氏によると、「イメージとして『スター・ウォーズ/シスの復讐』に登場する火山惑星ムスタファーに似ている」とのこと。ムスタファーは激しいマグマの海に覆われた場所であり、アナキン=スカイウォーカーと師匠オビ=ワン・ケノービが対決した地でもあります。
その結果、アナキンはマグマに体を焼かれ、サイボーグ人間のダース・ベイダー卿となりました。ある意味で、この地はダース・ベイダーが生まれた場所ともいえます。
しかし似たような星が実際に存在するとは、ファンも驚きの発見です。
研究の詳細は、8月28日付けで「arxiv」に掲載されています。
https://arxiv.org/pdf/1908.10732.pdf
高温マグマの原因は主星の重力にあり
WASP-49bは、オリオン座の南にあるうさぎ座の中を巡る巨大な高温惑星で、2011年に発見されていました。
Oza氏はこのWASP-49bの衛星について、「木星の衛星であるイオに近い」と話しています。イオは400を越える火山を有しており、太陽系内で最も火山活動の活発な天体として有名です。
そのため、今回発見された月は「エグゾ・イオ(exo-Io=太陽系外のイオ)」と名付けられています。ちなみにこうした激しい火山活動下では、もちろん生命が存在することも不可能でしょう。
この過酷な環境の原因は、主星との関係によって生じる潮汐力(tidal force)であると言われています。潮汐力とは、近くにある天体の重力の影響を受けることで、潮の満ち引きが生じる力のことです。
エグゾ・イオにかかる潮汐力から放たれるエネルギーが、天体が加熱し、火山活動を活発化させています。それと同時に潮汐力は、月の軌道を安定させる役割も担っているようです。
ところが現在、主星であるWASP-49bは、宇宙空間へのエネルギー放出によって質量が大幅に減少し始めていることがわかっています。このまま質量減少が続けば、主星だけでなく衛星の崩壊も免れられない事態となるでしょう。
フォースの力をもってしても、星の崩壊ばかりは止められないかもしれません。