
Point
■世界で7000を超える言語ではそれぞれ、1単語の中に含まれるシラブル(音節)や情報量が異なる
■それぞれの言語について「同じ時間で与えられる情報量」を分析した結果、17の言語間に大差がないことが分かった
■これには「話すスピード」が関連しており、情報密度が薄い言語ほど話者は早口で言葉を発する
世界は様々な言語にあふれています。海外旅行が好きな人にとっては、それが苦労の種であり、また異国を感じることができる魅力的なファクターでもあるでしょう。
しかし、リヨン大学の研究者らによる新たな研究が、実は言語間に本質的には大きな違いがないかもしれないといった可能性を示唆しています。研究は「Science Advances」に掲載されています。
Different languages, similar encoding efficiency: Comparable information rates across the human communicative niche
「情報量」という普遍的なもの

大きな違いがないというのは、「同じ時間で与えられる情報量」といった観点で言語をみたときの話になります。
どんな言語でも「情報の伝達手段」といった役割を果たしていますが、その密度には大きな違いがあります。
世界中の言語の中にある「普遍的なもの」を見つけ出すために、研究者たちは大きな苦労を強いられました。7000を超える言語の中で、それらをつなぐ特徴などほとんど存在していないのです。
そこで研究者たちが注目したのが「情報量」といった要素です。1単語におけるシラブル(音節)の数は、言語によって大きく異なります。そのため、シャノンが提唱した情報理論における情報の含有量も、そこでは異なります。
たとえば英語には7000近くの独立したシラブルがありますが、日本語には数百しかありません。つまり、この違いによって両者がまったく異なる言語の響きを持つことになります。
「情報量」と「スピード」は表裏一体
研究者らはその情報の含有量に着目し、ヨーロッパからアジアに至るまでの国々の、17の言語における170人のネイティブスピーカーの音声を調査しました。スピーカーたちに与えられたタスクは、およそ240,000のシラブルから成る15のテキストを読み上げるといったものです。
そして「情報の含有量」と「話すスピード」を考慮に入れて、それらを分析した結果、一定時間における情報の伝達量は、どの言語でもおおよそ変わらないといったことが分かったのです。

17の言語を平均すると、スピーカーは毎秒39.15ビット(39.15bps)の情報を有するスピードで喋っていたことになります。他にも興味深いことが判明しており、男性よりも女性の方が、ゆっくりと話す傾向があったとのことです。
言語が持つこの文化的、生物学的な2つの要素は、コインの表と裏のような関係にあります。文化的な要因である言語が生み出されると、その情報量に対応した速度で話者が話し始めるということです。
すなわち、人類見た目こそ異なれど、その脳の作りはほとんど同じなのであり、言語が変わったところで処理能力に変化はないのです。
ある言語が「早口だなぁ」と感じることがあるかもしれませんが、冷静になって処理してみると、同じ時間に伝わっている情報量は母国語と同じであることに気がつけるかもしれませんね。


















