ブラックホール「動画」への挑戦
2000年代の終わりに向けて、彼らの努力は実を結び始めました。彼らはこの理論を証明するために、3つの望遠鏡を設置する許可を得ると、2008年には最初のブラックホールに関する観測をおこなっています。
そして2017年までには、チリ、スペイン、メキシコ、アメリカ、南極点に合計8つの電波望遠鏡を構えました。
彼らは「Messier 87(M87)」銀河内部のブラックホールの観測に加え、我らが天の川銀河の中心に存在する、「いて座A*」の位置にあるとされるブラックホールにも目を向けました。しかし、私たちの銀河に存在するブラックホールは動きが激しく、その観測は困難を極めています。
ドールマン氏は、「M87の周りの物質が、およそ1ヶ月周期で循環している一方で、いて座A*は約30分しかかかりません。一晩の観測中に、いて座A*は姿を変えてしまうのです」と説明しています。
ドールマン氏はまた、「2020年までに、画質の悪い最初の動画を見せることができるかもしれません」と語っています。また、そのためにはさらに多くの望遠鏡を、地球とその軌道に置くのが理想であるとのことです。
しかし、ドールマン氏はこの資金集めに自信を持っています。史上初めてM87の姿を捉えた彼らは、宇宙にロマンを抱く人々の心をもガッチリと捉え、政府のみならず、個人からのファンディングも大いに期待することができる状況なのです。
近年盛り上がりをみせるブラックホール界隈。わずか1年後の2020年に私たちは、新たなブラックホールの姿を目撃することができるのでしょうか。これが、実際にブラックホールを「画像」に捉えたチームの主張であると考えれば、信憑性は高いと考えていいでしょう。