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長く続くセイファート銀河「1型・2型論争」に終止符? ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたもの

2019.09.10 Tuesday

Credit: NASA

Point

■非常に明るい中心核が存在するセイファート銀河は、確認できるスペクトルの幅によって1型と2型に分類される

■この分類には懐疑的な天文学者も多く、1型も2型も同様の銀河を「別の角度」からみているに過ぎないといった主張が長く続いていた

■新たな研究がハッブル宇宙望遠鏡を用いることで、典型的な「2型」と考えられていた銀河が「1型」であることが判明し、この分類がさらに疑わしいものとなった

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非常に明るい核を持つ、異質な銀河「セイファート銀河」。

これまでハッキリしてこなかったセイファート銀河にまつわる議論に、ついに決着がつくもしれません。イタリアのローマトレ大学の研究者らによれば、セイファート銀河は「1型」のみであり、「2型」なるものは存在しないとのことです。

研究は「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に掲載されています。

HST unveils a compact mildly relativistic broad-line region in the candidate true type 2 NGC 3147

https://academic.oup.com/mnrasl/article/488/1/L1/5522653

「2型」など存在しない?

ほとんどの銀河の中心には、太陽をはるかに上回るとんでもない質量を持つ超大質量ブラックホールが存在しており、中には、大量のエネルギーを持つ光をそこから宇宙空間へと放出するものがあります。

こうした、中心領域から膨大なエネルギーを放出している銀河を活動銀河と呼び、中でも極端に明るい中心核を持つ銀河はセイファート銀河として知られています。

このセイファート銀河は1型と2型の2種類に分類され、銀河のスペクトルに、幅の狭い輝線と広い輝線を両方含むものがセイファート1型で、幅の狭い輝線しか見られないものがセイファート2型と呼ばれています。

Credit: NASA / セイファート銀河2型に分類されている銀河「ESO 97-G13」

しかし、天文学者の中にはこの分類が不正確であると主張する人たちがいます。彼らは長きにわたって、セイファート銀河には1型も2型もなく、それは同じ対象物を「別の角度」からみているに過ぎないと主張してきました。

それはつまり、ブラックホール周辺にある塵のリングによって幅の広い輝線が遮られることで、本来なら1型に分類されるはずのセイファート銀河が、2型に分類されてしまっていると主張するものでした。

しかし、中には塵のリングがなくても幅の広い輝線が確認されないセイファート銀河もあったことで、天文学者らは幅の広い輝線が「遮られている」のではなく、それを「欠いている」2型のセイファート銀河はやはり存在すると考えるようになりました。

しかし、今回の研究により得られたデータが、その可能性を排除するかもしれません。研究者らはやはり、それらはすべて同じ対象物を別アングルから観測しているに過ぎず、「2型」の存在を認めないといった主張を繰り広げています。

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