ハッブル宇宙望遠鏡の活躍
こうした議論を長引かせたのが、「NGC 3147」と呼ばれる銀河をはじめとした、いくつかの銀河の存在です。NGC 3147では幅の広い輝線が確認されないだけでなく、それらを遮るものの存在も確認できなかったのです。
しかし、この状況に終止符を打ったのがNASAのハッブル宇宙望遠鏡です。天文学者らはこれを用いることで、ついにNGC 3147における「失われたシグナル」を検知することに成功したのです。
NGC 3147は薄暗いため、ブラックホールのすぐ外側の輝線は近くの星の輝きに阻まれることで、確認することができませんでしたが、ハッブル宇宙望遠鏡の高性能なレンズではこれを捉えることができたのです。
研究者らは、NGC 3147が最も典型的な2型(と言われている)セイファート銀河であることを指摘しており、これが実際は2型ではないと証明することで、すべての例を覆すことができるとしています。
「天文学者たちにとって最も大事なのは、この枯れ枝をプルーニングすることなんです」研究をおこなったロバート・アントヌッチ氏はプレスリリースにてそのように述べています。
ハッブル宇宙望遠鏡を用いることで、NGC 3147という「枯れ枝」を見事に選定することに成功した彼ら。これで本当に「1型・2型論争」に終止符が打たれたのかは分かりませんが、大きな前進になったことは間違いないでしょう。