DNA構造を複製して作ったシルクタンパク質分子
シルクは、蚕やクモなどの生物が分泌する天然のタンパク質の一種ですが、研究チームが今回用いたシルクは、実際のクモの糸から採取したものではなく、バクテリアと合成DNAを使って人工的に作り出したものでした。スパイダーシルクのDNA構造を複製し、スパイダーシルクと化学的によく似たシルクタンパク質分子を作ったのです。

「我々の研究は、タンパク質工学の新しい可能性とその可能性の広さを示しています。将来的には、わずかに異なる材料を使って類似した合成素材を作り、異なる特性を持たせることで別の応用方法も可能になるでしょう」と、研究チームは語っています。
現在、研究チームはインプラントや緩衝材のための新しい複合材料を開発しているところです。天然素材同士を掛け合わせることによって次々と生まれる新素材。「自然の恵み」という言葉が意味する範囲は、ますます広がりつつあります。