「住んでもいいから、巣を守って」
今回研究チームによって、この2種類のヘビに対するアリの対応の違いが明らかになりました。
まず、天敵である盲蛇が巣に侵入してくると、アリは急いで幼虫や卵を安全な保護場所に避難させました。しかし、逃げるだけでは盲蛇を追い払えず、アリだけで撃退することも困難です。
一方、盲蛇の天敵であるアントマザーが巣に入ってきても、アリは攻撃も避難もせず、友好的に受け入れていました。研究チームは「アントマザーを巣に住まわせる見返りとして、天敵からの保護を頼んでいるのではないか」と推測しています。

さらに、アントマザーが好んでアリの巣に訪れることから、巣の中の温度や湿度もヘビの居心地が良いよう一定に保たれているとのこと。アントマザーも、居住空間を提供してくれるアリを襲うことはしないでしょう。
こうしたアリとヘビの関係性が観察されたのは、世界でも初めてとのこと。
以前にもヘビがアリの巣の中で発見されるという事例は報告されていますが、それはどれも冬の時期だけです。冬はアリの産卵シーズンではないので、巣の活動も停止状態にあり、他の動物が住んでしまうケースが多いといいます。
よって、アリたちが非常に敏感で攻撃的になる産卵シーズンに、ヘビが巣の中に同居していることは異例のケースなのです。
巣を守ってもらう代わりに住居を提供するアリとヘビの関係。生き物の世界でも、等価交換は存在するようですね。