Point
■土星と地球の距離がもっとも縮まるタイミングで、ハッブル宇宙望遠鏡により撮影された土星の画像が公開された
■画像にはレコード盤のようなリングの細部までが、鮮やかに映し出されている
■この画像はガス惑星の大気力学調査のために撮影されたもので、土星の気象パターンや変化の研究に利用される
土星が地球にもっとも接近した2019年6月20日、両者の距離は13.6億キロメートル。まさにこの時、まるでCGのような土星画像が撮影されました。
撮影に使用されたのは、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された広視野カメラ3(Wide Field Camera 3、WFC3)です。
この画像は、2019年9月12日にハッブル宇宙望遠鏡のサイトにて公開されています。
https://hubblesite.org/contents/news-releases/2019/news-2019-43
学術的にも貴重な木星の画像
撮影された画像は、ただ鮮明で美しいと言うだけではなく、当然学術的にも意義深いものです。
これはガス惑星の大気力学と進化を調査するOPAL(Outer Planet Atmospheres Legacy)プロジェクトの一環で撮影されたもので、土星の大気状態の変化を見て取ることができます。
土星の北極圏には、ジェット気流により作られた不思議な六角形の大気の渦を見ることができます。これは「ヘキサゴン」と呼ばれていて、1981年にボイジャー1号により初めて観測されたものです。
こうした巨大な嵐は、変わらず土星の極点を旋回しています。
しかし、それ以外の大気状況については、色々と変化しています。ハッブル宇宙望遠鏡による土星の撮影は、1年前の2018年にも行われていますが、そのときは確認された北極圏の大きな嵐は、現在は消えてしまっています。
土星も地球と同じように地軸が傾いているため季節があり、星の見た目は季節によって変化します。ただ、土星は同じ季節が7年間も続きます。
この画像も、2018年に撮影された画像も、土星の夏の期間を撮影したものになります。
土星は琥珀色に光って見えますが、これはアンモニアの結晶でできた雲に、紫外線があたって光化学反応を起こし生成されたスモッグが影響しています。
こうした雲のできる高度の違いや、風の流れの変化が、土星に帯状の縞模様を作ってみせるのです。
1610年にガリレオ・ガリレイを驚かせた土星のリングは、氷の粒によるものです。また岩石の粒子による構造もあり、それが明るく反射するリングと暗いリングの構造を作っています。
なんとも美しい土星の画像。私達はうっとり眺めてしまいますが、こうした画像が太陽系の惑星の進化を理解するための助けになっているんですね。