「逆効果」になる場合も
「成長マインドセット」に関する研究が始まったのは1980年代で、心理学界における他の理念と同様に、今日に至るまで詳細な研究が進められてきました。
今回の研究では、このトピックの中で最も影響力の大きな2つの過去の研究を再現・検証しており、その方法論について再考しましたが、子どもたちの「成長マインドセット」を刺激したところで、彼らのモチベーションに良い影響を与えることはできませんでした。
しかし、過去の研究とは異なる点もありました。それは、あろうことか「成長マインドセット」が逆方向に働き、子どもたちにネガティブな影響を与えていたことが確認できたという点です。
そこにどのような因果関係があるのかは明らかになっていませんが、「成長できる」と信じさせることが、子どもたちの成長を妨げるといった実に皮肉な結果が出てしまったことになります。
また、これに続く大学生を対象とした研究においても、同様の結果が得られました。そこでも「成長マインドセット」は適切に機能せず、生徒のパフォーマンスになんら影響を与えるものではなかったのです。
結局のところ、自分を成長させるには「マインドセット」ではなく「行動」を変えるしかないということになります。その行動を変えるためのマインドセットであれば効果的なのでしょうが、そんなに簡単に強力なマインドセットを得ることはできないと考えたほうがよさそうです。