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どこでも満天の星が見られる移動式「プラネタリウムテント」!  制作奮闘記を開発者にインタビュー (2/5)

2019.10.02 Wednesday

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プラネタリウムテントの開発秘話

それでは、プラネタリウムテントはどのように作られたのでしょうか? 猪俣さんにインタビューをさせていただきました。

——プラネタリウムテントを始めたきっかけは何ですか?

星が好きで、多くの人にも魅力を知ってもらいたいと「星のソムリエ®」になったのですが、天の川を見せたいと思っても、見せる機会がなかなかありません。気象条件が良くない日が多いですし、都会では光害もありますしね。

そんなとき、小型でクオリティが高いことで知られるプラネタリウム、『メガスタークラス』で星を見て、とても感動しました。しかし、価格は140万円ほどと、個人で購入する金額ではないと躊躇したのに加え、仮に購入しても、室内だと壁がでこぼこしているため、ピントずれが起きてきれいに見えません。

しかし、キャンプ業界の仕事をしていることもあり、「ドーム型テントを遮光して投影すればピッタリなのではないか。移動式プラネタリウムが作れるかもしれない」と思い付いたことが開発のきっかけです。

——制作にあたって苦労したことは何ですか?

さっそく、あるテントメーカーにドーム型テントの見積もりをとったところ、200万円と言われてしまい、既存のテントを自分で改造できないかと思いました。

ちょうどサイズがピッタリなテントがあったので、複数のパーツに裁断し、それぞれの型紙を作り、遮光生地を切り抜きました。遮光生地を67mは使用しましたね。そしてまち針をうち、ガンタッカーで貼り付けていきました。

そのあと、針穴をふさぐために特殊なテープを貼り、さらに透け防止のため、黒のシルクスクリーンを上から塗りました。1人で延々と気の遠くなる作業で、正直、二度とやりたくないですね(笑)。

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手作業による、孤独で地道な作業…。
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仕事場のスタジオがえらいことになっています。
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テントに埋もれるミシン…。

2018年の11月、5ヵ月の末にようやく完成し、『メガスター』を開発された大平技研に行って、上映を見てもらいました。すると、「こんなにきれいに星が見えるんですね…!」と感心していただき、機器の開発者の方々も納得するできになったので、これなら大丈夫だと思いました。

また、活動していくなかでブラッシュアップしていっています。夏になると、テントが黒いこともあって暑いので、上から遮熱シートでタープを張るようにしましたし、スポットクーラーも設置しました。

——プラネタリウムテントならではのメリットとは?

やはり、寝転がるので視界を邪魔するものがなく、360度広がる星空を見られるので、臨場感があります。

また、余程ひどい天気でなければ、天候を気にする必要がありません。雨音を聴きながら、星を見るなんてこともできちゃいますよ。

もちろん、さまざまな場所で上映できるのもポイントです。直径8メートル四方のスペースがあれば、設置は可能ですよ。驚かれるのですが、組み立て自体は私1人で可能で大体1時間、機器の設定などを含めると、準備は2時間ほどでできてしまいます。

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Credit: 猪俣慎吾 組み立ての様子

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