Point
■木星に落ちる衛星イオの影を、探査機ジュノーが撮影
■イオは地球の月より若干大きいサイズで、この影の幅は3600キロメートルあり、イオとほぼ同サイズの影
■ジュノーの撮影画像はオンライン上にアップロードされており、有志による画像処理で鮮明化されている。今回の画像もアマチュア科学者によって強調されたカラーイメージだ
11日にNASA(米航空宇宙局)の探査機ジュノーによって撮影された、木星の「巨大な円(※別サイトへ)」が話題になっています。
まるで木星に巨大な穴が空いてしまったような不思議な画像ですが、この正体は、衛星イオが食によって惑星に落とした影なんです。
イオは公転周期が短く、木星の軸には傾きがほとんどないため、木星の表面には1年を通じて定期的にこうした衛星の影ができます。
影の幅は約3600キロメートもあり、日本の本州約1500キロメートルの倍以上の大きさです。そんな大きな影が惑星にできるとは、木星は本当にスケールが違います。
この画像は、現在NASA探査機ジュノーの特設サイト上で公開されています。
灼熱の衛星イオ
イオは木星の代表的な4つの衛星の中で、もっとも内側の軌道を回る衛星です。1.77日(約1日と18時間30分)で惑星を一周するのでかなりの高速回転をしています。
また、木星に近いために、木星の強力な重力の影響を受けてグニャグニャと楕円に揉まれている様な状態で、その影響で非常に高い熱が発生しています。これを潮汐加熱といいます。
下は地球と月の場合の図ですが、こうした潮汐の影響は、衛星内部に熱を持たせ地殻活動を活発にします。イオは太陽系でももっとも地質学的に活発な天体で、非常に多くの活火山を持っている灼熱の衛星です。
木星は惑星の軸にほとんど傾きがないので、衛星の公転軌道も太陽に対してほぼ水平を保っています。そのため、木星に近いイオは惑星表面に食の影を落としやすい状態になっているのです。
ちなみに地球の場合は軸の傾きがあるので、月の公転はグラグラと歪んだように変動してしまいます。