地球に見つかるよく似た環境
今回発見された痕跡から、科学者はかつてゲイルクレーターに広がっていた景観が、地球の南米アルティプラノに広がる塩原とよく似ていた可能性があると推測しています。
山岳地帯の乾燥した高原へ流れ込む小川は、古代のゲイルクレーターの盆地の様子とよく似ていて、両者はどちらも気候の影響を強く受ける状態にあります。乾燥期になると、アルティプラノの湖は浅くなり、一部は完全に乾燥する場合もあります。それに植生が無いという環境も、まるで火星の風景のようです。
かつての火星の姿が地球上で見られるというのは、非常に興味深い推察です。
今後キュリオシティは、風や流水で積み上げられた堆積物の傾斜した層を調査していきます。こうした傾斜の層は、完全に水が干上がって大きな変化を迎えた後の構造になり、後期の火星の変化を知ることができるかもしれません。
火星がかつて持っていた地球のような環境を、どれほどの期間継続していたのか、微生物などは生存可能だったのか、いつからどのように火星は変化していったのか、科学者たちはそうした火星の歴史の真の姿に迫りつつあるようです。